2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経線維腫症2型にともなう神経鞘腫に対する遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
12671351
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 清 名古屋大学, 医学部, 講師 (00240804)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 正明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (70283439)
永谷 哲也 名古屋大学, 医学部, 助手 (80324408)
|
Keywords | 神経線維腫症2型 / 神経鞘腫 / 遺伝子導入 / VEGF |
Research Abstract |
神経線維腫症2型(Neurofibromatosis type 2,NF2)に伴う神経鞘腫は良性腫瘍であるが、多発し再発しやすいために予後不良である。腫瘍の増殖を抑制する治療法開発の基礎実験として、神経鞘腫の初代培養を行い増殖した細胞に対して遺伝子導入を試みた。手術時に採取したNF2に伴う神経鞘腫および弧発性聴神経鞘腫から初代培養を行い、免疫染色でS100蛋白陽性のschwannoma細胞と確認した。アデノウイルスベクターを用いたβ-galactosidase遺伝子導入では、MOI=1において50%以上の細胞に、MOI=10ではほとんど100%にx-gal陽性のβ-galactosidase遺伝子の発現がみとめられた。リポソームによる遺伝子導入では0.03μmol/mlの濃度において約1%でx-gal陽性細胞を認めたが、それ以下の濃度においては陽性細胞を認めなかった。 次に、VEGF (vascular endothelial growth factor)の抑制がNF2に伴う神経鞘腫に対する治療法となるかについて研究を行った。シュワン細胞にはVEGFレセプターの発現がみられ、VEGFがシュワン細胞の遊走を誘導し虚血によるアポトーシスを抑制すると報告されている。まず、NF2に伴う神経鞘腫、多発性の神経鞘腫(NF2疑い例)および孤発例の神経鞘腫におけるVEGFの発現を検討した。手術時に摘出した神経鞘腫におけるVEGFの発現・腫瘍内血管数(CD34染色によりHPFあたりの数)・MIB-1陽性率(Ki-67染色)はNF2と多発性神経鞘腫例で高い傾向がみられた。また、RT-PCRによるVEGFmRNA発現は、孤発神経鞘腫では4例中1例が陽性、多発性神経鞘腫例およびNF2例では各2例全例で陽性であった。VEGFの発現はNF2に伴う神経鞘腫で強い傾向が見られ、VEGFの抑制がNF2に伴う神経鞘腫に対する治療に結びつく可能性が示唆された。
|