2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋増殖に対する遺伝子組換えウイルスベクターによる遺伝子治療の研究
Project/Area Number |
12671353
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90209916)
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Keywords | gene therapy / smooth muscle cell / re-stenosis / leiomyosarcoma / HSV / cell-specific replication / replication-competent virus |
Research Abstract |
血管狭窄に対する治療としてPTAおよびステント留置による血管内治療が良好な成績を収めているが、一方では、高頻度に再狭窄が生じ、問題となっている。この病態の主因は血管平滑筋の病的な増殖にあり、これを解決するため、増殖する血管平滑筋でのみ、特異的に複製し、その細胞を破壊する遺伝子組み換え型単純ヘルペスウイルス(HSV)を作成する事を試みた。現在までに、3種類の組み換えHSVを作成し、血管平滑筋および対照として血管内皮細胞での複製、細胞破壊をin vitroの系で検討した。また、併せて、血管平滑筋の表現型を示す平滑筋肉腫の治療をヌードマウスを用いたin vivoの系で検討した。 1) ウイルスの作成 平滑筋で特異的に発現するSM22alpha promoterの制御下にウイルスの複製に不可欠なICP4 geneを発現するtransgengeを、あらかじめICP4 geneを欠失した変異株HSVに組み換えることにより、組み換えウイルスd1220を作成した。同様のstrategyにより、calponin promoterを利用したd12ca(-),さらに同promoterおよび4F2 enhancerを利用したd12calpの三種類のウイルスを作成した。 2) in vitroでの組織特異性の検討 作成した3種類のウイルスをラット大動脈よりの初代培養血管平滑筋およびヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いて、組織特異性および細胞障害性を検討した。3者ともHUVECに対しては、全く複製、細胞破壊を認めなかったが、血管平滑筋では複製、細胞破壊を認めた。その効果はd12calpが最も強力であった。 3) 平滑筋肉腫に対する遺伝子治療 ヌードマウス皮下にヒト平滑筋肉腫株化細胞を移植し、d12calpを用いて遺伝子治療実験を行ったところ、ほとんどすべての腫瘍塊が消失した。 以上の結果を踏まえ、今後、in vivoにおける血管再狭窄モデルにおいて、d12calpを用いた治療実験を行ってゆく。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hisako Yamamura, et al.: "Identification of the Transcriptional Regulatory Sequences of Human Calponin Promoter and Their Use in Targeting of a Conditionally Replicating Herpes Vector to Malignant Human Soft Tissue and Bone Tumors"Cancer Res,in press.
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[Publications] 宮武伸一: "HSV vectorと神経系の遺伝子治療"神経研究の進歩. 45. 30-35 (2001)
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[Publications] Norihiro Matsuoka, et al.: "Adenovirus-mediated gene transfer of basic fibroblast growth factor promotes the survival of primarily cultured neuranal rat cells"Neuroreport. 11. 2001-2006 (2000)
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[Publications] Hiroyuki Yukawa, et al.: "Adenoviral gene transfer of basic fibroblast growth factor promotes angiogenesis in rat brain"Gene Therapy. 7. 942-949 (2000)
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[Publications] Yasunori Okubo, et al.: "Osteoinduction by bone morphogenetic protein-2 via adenoviral vector under transient immunosuppression"Biochem Biophys Res Commun. 267. 382-387 (2000)
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[Publications] 宮武伸一: "複製可能ヘルペスウイルスを用いた遺伝子治療の現状"分子細胞治療. 1. 240-246 (2000)