2000 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスVEGFを用いた悪性グリオーマの遺伝子治療(血管新生阻止療法)
Project/Area Number |
12671358
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐々木 真人 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (80314483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 助教授 (50189669)
江原 一雅 神戸大学, 医学部, 助教授 (20151996)
玉木 紀彦 神戸大学, 医学部, 教授 (10030941)
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Keywords | VEGF / アンチセンス / 悪性グリオーマ / 腫瘍血管新生 / 遺伝子治療 / ウイルス産生細胞 |
Research Abstract |
我々は実験脳腫瘍、特に悪性グリオーマにおける血管新生阻止(anti-angiogenic therapy)を目的としてアンチセンスVEGFを用いて治療実験を行ってきた。本年は、アンチセンスVEGFを搭載したレトロウイルスを、恒常的に産生するヘルパーフリーのウイルス産生細胞株を樹立し、これを供給源としてレトロウイルス液を濃縮精製、あるいは産生細胞自体を腫瘍組織内に移植することで、アンチセンスVEGFの導入が可能であることを証明し、その抗腫瘍効果の評価を行った。その結果、濃縮レトロウイルスを用いたアンチセンスVEGF療法では、通常のウイルス力価の約1000倍の感染効率をもつウイルスを得ることができ、皮下移植および脳内移植モデルにおいてVEGF分泌抑制による有為な血管新生抑制効果および抗腫瘍効果を認めた。また、これらのアンチセンスVEGF導入動物において、明らかな副作用が認められなかったことから、このストラテジーの安全性も確認できた。あるいは、グリオーマ細胞株C6細胞にアンチセンスVEGFを導入した得たstable transfectantを用いて、VEGFが腫瘍浸潤にも関与していることを明らかにした(Goldbrunner ら)。さらに、従来のベクターの欠点を補うべく、新しいアンチセンスVEGFのベクターとして、血管内皮前駆細胞を末梢血から精製分離し、in Vitroで増殖させた後、VEGFその他の増殖因子を用いて血管内皮細胞まで成熟させた。現在、この細胞にex vivoで遺伝子を導入し、細胞ベクターとしての可能性を検討中である。その他アンチセンスVEGF療法との併用療法として、最近発見された低酸素誘導転写因子であるHIF-1(hypoxia-inducible factor-1)のデコイ(おとり遺伝子)を作製し、VEGFの転写レベルでの制御を試み、まだin vitroの実験系であるが、VEGF発現の制御が可能であることを初めて証明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Goldbrunner RH: "Vascular endothelial growth factor-driven glioma growth and vascularization in an orthotopic rat model monitored by magnetic resonance imaging"Neurosurgery. vol.47(4). 921-930 (2000)
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[Publications] 佐々木真人: "血管内皮前駆細胞を用いた細胞療法の基礎的研究"神経免疫研究. vol.13(印刷中). (2000)
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[Publications] 佐々木真人: "HIF-1デコイを用いた腫瘍細胞のVEGF発現制御に関する基礎的研究"Neuro-Oncology. vol.10(2)(印刷中). (2000)