2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管攣縮における平滑筋細胞変性時になぜ平滑筋収縮が生じるか
Project/Area Number |
12671364
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大田 信介 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (50194163)
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Keywords | クモ膜下出血 / 脳血管攣縮 / チトクロームC / カスパーゼ / カルパイン |
Research Abstract |
脳底動脈に脳血管攣縮をほとんど生じない1回クモ膜下出血モデル犬と長期にわたる脳血管攣縮を生じる2回クモ膜下出血モデル犬を用いて、脳底動脈壁平滑筋細胞におけるミトコンドリアからのcytochrome Cの細胞質への漏出、Caspase-3活性、平滑筋収縮抑制蛋白を分解するカルパイン活性の変動を検討した。1回クモ膜下出血モデルでは全経過を通じて細胞質にcytochrome Cは染色されなかった。一方、2回出血モデルでは脳血管攣縮が始まるday4に細胞質に染色性を認め、脳血管攣縮を来す動脈ではcytochrome Cが細胞質に漏出することが確かめられた。Caspase-3活性は、1回クモ膜下出血モデル犬では極く僅かに上昇したが有意な活性上昇ではなかった。2回出血モデル犬では、cytochrome Cの漏出に呼応してday4以降有意な活性上昇を認めた。カルパイン活性は1回クモ膜下出血モデルでは、その活性化は一時的なものに終わったが、2回出血モデルではday4以降持続して活性型が認められた。また、cytochrome Cの漏出、Caspase-3とカルパインの活性化すべてがカルシウム拮抗剤の前投与で有意に抑制された。以上より、クモ膜下出血に伴い脳動脈壁平滑筋細胞に多量のカルシウムが流入し、ミトコンドリアがそれを取り込む。カルシウムによるミトコンドリア・ストレスは、ミトコンドリアからcytochrome Cを細胞質に漏出させ、Caspase-3を活性化させる。活性型Caspase-3はカルパインを持続的に活性化し、収縮抑制蛋白を分解し、脳血管攣縮に認められる持続的収縮を引き起こすものと考えられる。
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Research Products
(1 results)