2000 Fiscal Year Annual Research Report
凍結処理した膝蓋腱の機能的適応による再構築現象の機序に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
12671389
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮城 登 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (90261297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 喜満 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10192858)
遠山 晴一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60301884)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
伊藤 浩 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80261296)
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Keywords | 線維芽細胞 / 細胞壊死 / in situ凍結処理 / III型collagen / 膝盖腱 / III型procollagen / mRNA / 細胞浸潤 |
Research Abstract |
【方法】 1.実験動物としてWistar系rat36匹を用いた。これらのうち,27匹の右膝蓋腱に対してin situ凍結解凍処理を行い,左膝蓋腱に対してはsham手術を行った。 2.術後3,6,12週で各9匹ずつ屠殺し,4匹は免疫染色に,残りの5匹は定量的RT-PCRに供した。なお無処置9匹の膝蓋腱を正常対照とした。 3.III型collagen発現の検討のための免疫組織化学的観察に関しては,抗III型collagen抗体によるSABC法にて細胞分布とIII型collagen発現の関係を観察した。 4.III型procollagen mRNAの検討のため,逆転写した試料とcDNA standardに対してPCRを同時に施行し検討した。 【結果】 1.凍結処理後3および6週において表層よりの細胞浸潤周囲にIII型collagen発現が認めた。また,処理後12週においては膝蓋腱全層にわたり,III型collagen発現が出現していた。一方,sham手術膝蓋腱においてはいずれの時期においてもIII型collagen発現は認められなかった。 2.定量的RT-PCRに関しては,術後6および12週の凍結処理腱のIII型procollagen mRNAの発現量はそれぞれ内部対照GAPDHの4.9±3.7%および4.5±2.6%と,sham手術の0.1±0.2%および0.0±0.0%に比し有意に高値を示した。 【考察】 III型collagenは小径collagen fibrilを形成することを考慮すると,本研究が明らかとした浸潤細胞のIII型collagen過剰産生は,研究者らが以前報告したin situ凍結解凍処理後の膝蓋腱に生じる小径collagen fibrilの増加,断面積の増加および力学的特性の低下の機序の1つであることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tohyama, H: "Intrinsic fibroblasts can inhibit the deterioration of the patellar tendon matrix caused by overstressing, while extrinsic fibroblasts do not."Trans.Orthop.Res.Soc.. 25. 790 (2000)
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[Publications] Tohyama, H.: "The effect of stress enhancement on the extracellular matrix and fibroblasts in the patellar tendon."J.Biomechanics. 33. 559-565 (2000)
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[Publications] Tohyama, H.: "Extrinsic cell infiltration and revascularization accelerate mechanical deterioration of the patellar tendon after fibroblast necrosis."J.Biomech.Eng.Trans ASME. 122. 594-599 (2000)
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[Publications] 遠山晴一: "特集/膝関節overuse syndrome-その基礎と臨床-Overloadによる腱の変化."臨床スポーツ学会. 17. 363-398 (2000)
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[Publications] 遠山晴一: "内在性線維芽細胞および外来性浸潤細胞の存在が過負荷膝蓋腱の力学的特性に及ぼす影響."日本臨床バイオメカニクス学会誌. 21. 127-132 (2000)