2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜類似構造を持つMPCの人工股関節への応用のための基礎的検討
Project/Area Number |
12671398
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 和強 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50302691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 浩 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40282660)
石原 一彦 東京大学, 工学部・生体材料創成学, 教授 (90193341)
高取 吉雄 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助教授 (40179461)
中澤 興三 科学技術庁, 金属材料技術研究所・生体融和材料研究チーム, 主任研究官
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
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Keywords | 2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC) / 股関節 / 人工股関節全置換術 / 弛み / 股関節シュミレーター / 骨融解 / 破骨細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
【MPCのコーティングによるポリエチレンライナーの摩耗に与える影響】 科学技術庁金属材料技術研究所の股関節シュミレーターを用い、摩耗試験を行った。ライナーは径48mmのポリエチレンライナーを、金属骨頭は径26mmのコバルトクロム合金製のものを使用した。ライナー表面の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPC)コーティングの有無二群に分け、摩耗試験を行った。シュミレーターの設定は毎秒1回の歩行周期に約180kgfと300kgfの2つのピークをもつ荷重波形と、スウィング角度±25°の歩行条件にて、約500万サイクルの連続試験を行った。 1.経時的な摩擦係数の変化 摩擦係数は経時的に増加した。2群間で有意な差はみられなかった。 2.潤滑液の分析 MPCコーティング群で200万サイクル前後において、MPCの潤滑液中への溶出が示唆された。 3.摩耗量の計測 試験終了後に三次元解析装置を使用しライナーの摩耗量を計測した。摩耗は荷重軸に一致した方向に起きており、二群間で有意差はみられなかった。 4.今後の予定 MPCのコーティング方法等を改善し、4月より再度摩耗試験を行う予定である。 【MPCの骨吸収に与える影響】 ポリスチレン微粒子を用い、弛緩人工関節周囲の骨吸収モデルの確立を行った。J774.1細胞(マウスマクロファージ細胞株)をポリスチレン微粒子に暴露し、培養上清を採取した。 1.培養上清中のPGE2および骨吸収サイトカイン(TNF-α、IL-1α、IL-6α)の測定 ポリスチレンの濃度依存性にサイトカインの産生がみられた。曝露濃度0.5mg/mlにより、骨吸収活性を引き起こすに十分なサイトカインの産生がみられた。 2.培養上清による骨吸収能の測定 骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系において測定した。骨吸収促進作用はみられたが、曝露濃度との相関はみられなかった。 3.今後の予定 in vitroにおける、弛緩人工関節周囲の骨吸収モデルの確立に成功した。現在、ポリスチレン微粒子へのMPCコーティングの方法を検討中である。これができた場合、確立した骨吸収モデルにおいて、MPCコーティングの影響を測定する予定である。
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