2000 Fiscal Year Annual Research Report
Camisin peptiole と筋由来神経突起伸張因子を利用した人工神経の開発
Project/Area Number |
12671399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 講師 (10242190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市野瀬 志津子 東京医科歯科大学, 機器分析センター, 助手 (60014156)
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (70108223)
四宮 謙一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20111594)
田口 隆久 産業技術総合研究所, 大阪工業技術研究所・有機機能材料部, 室長
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Keywords | atelocollagen / 架橋法 / 人工神経 / 神経再生 / Neurocrescin / Muscle Derived Protein77(MDP77) / 筋由来神経突起伸長因子 |
Research Abstract |
実験1:atelocollagenの架橋法と生体適合性 [方法]紫外線(UV)架橋、熱架橋、グルタールアルデヒド(GA)化学架橋を加えたatelocollagen tube(直径2.5mm、長さ15mm)をSD ratの右坐骨神経に移植した(各群N=5)。未架橋のcollagen tubeを移植した群を対照とした(N=5)。術後8週で試料を採取し、光顕と透過型電顕で観察した。 [結果]UV架橋群5/5、熱架橋群1/5、GA架橋群0/5、未架橋群3/5で再生神経のtube内架橋が確認された。UV架橋群はtube壁が分解・吸収されつつあったが、tubeの形態は保持されていた。熱架橋群ではtubeがすでに吸収されて分節化し、瘢痕中に再生神経組織が観察された。GA架橋群ではtubeがそのまま残存していた。未架橋群はtube壁が数層に剥離し、細胞が浸潤していた。UV架橋群と未架橋群間で再生有髄軸索の% axon areaを比較したが、有意差はなかった。 実験2:架橋法の相違による神経再生成績の比較 [方法]UV架橋、無架橋のcollagen tubeと同系の坐骨神経を用い、SD ratの右坐骨神経に15mmの架橋移植を行った(N=6)。術後12週で誘発筋電図を記録後、実験1と同様に組織学的観察を行った。 [結果]latencyはUV群(p<0.05)と同系移植群(p<0.01)が無架橋群に比し有意に小さかった。また、% axon areaはUV群と同系移植群が無架橋群に比し有意に大きかった(p<0.01)。 [実験1,2の考察]神経架橋用collagen tube作製に際しては、細胞活性を温存したままtube壁の強度を向上できる紫外線照射がcollagenの架橋法として最適である。 実験3:ニワトリ除神経筋由来の神経突起伸張因子の末梢神経再生に及ぼす影響 [方法]Neurocrescin(NC)とMuscle Derived Protein 77(MDP77)を5、10μg/ml含んだI型コラーゲンゲルを調製し、シリコンチューブ(内径1.5mm、長さ15mm)に充填後ゲル化し、ラットの右坐骨神経に架橋移植した(NC(5 or 10)、MDP77(5 or 10)群)。Tris緩衝液のゲルを対照とした(Null群)。術後8週時にチューブ内架橋形成率と、再生神経の有髄軸索の密度、直径、% axon areaを比較検討した。 【結果と考察】架橋の形成率はNull群が67%に対し、NC群は83%、MDP群は94%であり、これらの因子の神経再生促進効果が示唆された。MDP77(10)群の軸索の直径は、Null群・NC(10)群に対して有意に大きく(p<0.05)、MDP77の再生軸索の成熟促進作用が推察された。軸索密度はNC群で高い傾向を認めた。NC(10)群の% axon areaは、Null群・MDP77(10)群に比し有意に大きく、NCは軸索発芽の誘導により再生を促進すると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 若林良明,四宮謙一,伊藤聰一郎: "運動神経を標的とする再生医療の役割"バイオインダストリー. 17・2. 34-41 (2000)
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[Publications] 鮫島弘武,持田潔,伊藤聰一郎,四宮謙一: "経頭蓋電気刺激-誘発筋電図導出法を用いたラット末梢神経運動機能評価法"脊髄電気診断学. 21・1. 36-39 (2000)
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[Publications] 若林良明,伊藤聰一郎,高久田和夫,四宮謙一: "運動神経再生への人工神経"CLINICAL NEUROSCIENCE. 18・11. 50-53 (2000)
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[Publications] 伊藤聰一郎,高久田和夫,若林良明,四宮謙一: "生体吸収材料を素材とした神経架橋用scaffoldの開発"日本手の外科学会誌. 17・4. 371-375 (2000)
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[Publications] S.Itch,K.,Takakuda,S.,Ichinose,M.,Kikuchi,K.,Shinomiya: "A study on induction of nerve regeneration using bioabscrtable tubes."J.reconstr.microsurg.. 17・2. (2001)
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[Publications] 伊藤聰一郎,高久田和夫,若林良明,四宮謙一: "末梢神経再建用コラーゲンチューブの素材に用いるコラーゲン線維の架橋法に関する検討"日本マイクロサージャリー学会誌. 14・1. (2001)
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[Publications] 伊藤聰一郎,高久田和夫,若林良明,四宮謙一: "バイオミメティックハンドブック"エヌ・ティー・エス. 1139 (2000)