2000 Fiscal Year Annual Research Report
AAVベクターを用いた変形性関節症に対する遺伝子治療の検討
Project/Area Number |
12671434
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
堀井 基行 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40219209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (20178031)
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Keywords | 関節軟骨 / AAVベクター / GFP / 変形性関節症 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
われわれが用いるAAVベクターは,遺伝子導入効率が高く,病原性や癌原性を認めず生体にとって安全性が高いなどの利点を有する.またAAVベクターの大きさは直径が20nmと小さく,アデノウイルスベクターでは困難であった軟骨組織への遺伝子導入を期待される.まずわれわれは骨腫瘍患者の手術時または人工関節置換術時に得られたヒト関節軟骨から軟骨細胞を単離し,平板培養を行った.サイトメガロウイルスプロモーターからGreen Fluorescent Protein(GFP)を発現するAAVベクターを構築し,軟骨細胞に対し遺伝子導入を行った.遺伝子導入後,軟骨細胞に489nmの励起光を照射し,緑色光の発光を蛍光顕微鏡をもちいて確認し,発現している軟骨細胞の割合について検討を行った.初代培養軟骨細胞に対する遺伝子導入効率は,遺伝子導入1日後では16%であったが,遺伝子導入7日後には95%に増加した.基質に囲まれた軟骨細胞に対しては深層の細胞まで十分に遺伝子導入でき,遺伝子導入効率は54%であった.さらに導入した遺伝子の発現は28日間持続した.これらの結果からAAVベクターは,軟骨細胞に対する遺伝子導入法として優れたベクターであることが明らかになった. 現在,器官培養した軟骨組織に対する遺伝子導入を行っており,軟骨基質をベクターが通過することで,軟骨細胞へ遺伝子導入が可能であるかを検討している.また関節内に直接AAVベクターを投与するin vivo遺伝子導入法に応用することで,深層に至るまで軟骨細胞に遺伝子発現が得られる可能性が高い.
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