2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671449
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高橋 敏 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (10236276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛方 哲也 弘前大学, 医学部・附属病院, 医員 (80250603)
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Keywords | 麻酔 / 睡眠 / 断眠 / ケタミン / サイトカイン / インターロイキン-1 / 腫瘍壊死因子 / プロポフォール |
Research Abstract |
睡眠と麻酔は一過性の意識消失を伴うという共通点があるため、睡眠の脳内機構が麻酔メカニズムとどのような関係にあるかは非常に興味深い。睡眠調節機構は麻酔メカニズムに深くかかわっているのか、それとも麻酔メカニズムは睡眠のメカニズムとは無関係であるのか、また麻酔薬によってそれらのかかわり方は異なるのかなど多くのことは謎である。最近の睡眠科学の発展により睡眠の神経性ならびに液性調節機構についての解明が進んできたが、睡眠のメカニズムから麻酔のメカニズムを見るという視点での研究はほとんどない。そこで本研究課題によって睡眠調節機構と麻酔の相互関係を明らかにしたい。まず研究初年度の平成12年度は、生理的睡眠を刺激する操作である断眠が静脈麻酔薬の作用にどのような影響を与えるのか検討した。ラットを4時間、6時間または8時間断眠させた後に静脈麻酔薬を腹腔内投与して正向反射消失時間を測定した。その結果、断眠時間を増加させるに従って静脈麻酔薬のケタミンおよびプロポフォールの作用は増強されることが明らかになった。以上の結果、生理的に睡眠を調節しているメカニズムが麻酔薬の中枢作用にも影響していることが示唆された。さらに感染症時の過剰睡眠を引き起こす原因物質としてよく知られている催眠性サイトカインと麻酔薬の相互作用を検討した。代表的催眠性サイトカインであるインターロイキン-1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF)をラット脳室内または腹腔内に投与し、さらに静脈麻酔薬を腹腔内に投与してその作用時間を測定した。その結果予想に反してIL-1やTNFは麻酔薬の作用時間を減少させた。これはIL-1やTNFの中枢神経系における抗鎮痛作用やストレス増強作用が前面に出る時間帯に麻酔薬を投与したためと考察しているが、催眠性サイト力インと麻酔薬の相互作用については次年度以降さらに詳細に検討したい。
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Research Products
(1 results)