2000 Fiscal Year Annual Research Report
膜癒合性物質を加えた肺サーファクタントの開発と胎便吸入症候群への応用
Project/Area Number |
12671457
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田代 勝己 金沢大学, 医学部・附属病院・麻酔科蘇生科, 講師 (30242556)
|
Keywords | デキストラン / サーファクタント / 胎便 / 胎便吸入症候群 / 表面活性 / 動脈血酸素分圧 / ペプチド / パルミチン酸 |
Research Abstract |
1 胎便によるサーファクタントの活性阻害に対するデキストランの効果:胎便吸入症候群(MAS)患者でサーファクタントの機能異常が認められることから,胎便によるサーファクタント阻害をデキストランが打ち消すか否かを検討した。気泡型表面張力計を用いた実験で,デキストランが胎便による活性阻害を量依存性に打ち消すことが示された。 2 デキストランを添加したサーファクタントの治療効果の検討:実験的MASを呈したラットでデキストランによるサーファクタント補充療法がブタ加工型サーファクタントの効果を増強するか否かを検討した。サーファクタント(200mg/kg)を単独で投与した場合,動脈血酸素分圧(PaO_2)は治療後1時間で300mmHgに上昇して,以後徐々に低下した。一方,デキストラン(30mg/ml)を添加したサーファクタントの投与によりPaO_2は400mmHgに上昇して治療後3時間まで300mmHg前後に維持され,サーファクタント単独と比べ有意に高い値を示した。 3 合成サーファクタントの開発:リジンとロイシンの繰り返し構造からなるペプチド(KL_4ペプチド)を合成した。金沢大学で開発した合成リン脂質にKL_4ペプチドを加えて作成した合成サーファクタントは,気泡型表面張力計で,10mN/m以下の最小表面張力を示した。しかし,最大表面張力は40mN/mにしか低下しなかった。次に,KL_4ペプチドにパルミチン酸を結合させたペプチドを作成した。パルミチン酸結合ペプチドを合成リン脂質に添加した場合は,最小表面張力は5mN/m以下に低下した。パルミチン酸の添加がペプチドの生理活性を改善すると考えられた。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Tashiro,Katsumi: "Dextran reduces surfactant ihibition by meconium."Acta Paediatrica. 89・12. 1439-1445 (2000)
-
[Publications] Kobayashi,Tsutomu: "Restroration of plasma protein-deteriorated surfactant function : application of polysaccharides."Applied Cardipulmonary Pathophysiology. 9・3. 260-262 (2000)
-
[Publications] 鈴木康弘: "肺II型上皮細胞への脂質および蛋白症患者SP-Aの結合・取り込みにおける乖離"日本界面医学会雑誌. 31・1. 17-25 (2000)
-
[Publications] 紺崎友晴: "血清によって阻害されたサーファクタントの活性に対するデキストランの効果:気泡拍動法と肺洗浄ラットによる評価."日本界面医学会雑誌. 31・1. 49-56 (2000)
-
[Publications] 徐咏梅: "血清と終末呼気陽圧による加工天然サーファクタントの機能変化"日本界面医学会雑誌. 31・1. 57-65 (2000)
-
[Publications] Tashiro,Katsumi: "Aerosolized surfactant therapy at various durations on experimental acute respiratory distress syndrome caused by endotoxin in rats."86・(in press). (2001)
-
[Publications] Kobayashi,Tsutomu: "Experimental models of acute respiratory distress syndrome : clinical relevance and response to surfactant therapy."Biology of the Neonate. 77・(in press). (2001)
-
[Publications] 紺崎友晴: "血清による阻害と過度の希釈によるサーファクタントの機能異常に対するデキストランの至適量の検討."日本界面医学会雑誌. 32・1(in press). (2001)