2000 Fiscal Year Annual Research Report
各種麻酔薬のサーカディアンリズムに与える影響(時計遺伝子レベルでの解析)
Project/Area Number |
12671466
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
尾原 秀史 神戸大学, 医学部, 教授 (80030998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 昌子 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (30304108)
夜久 英明 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (40263389)
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Keywords | 麻酔薬 / サーカディアンリズム / perl mRNA |
Research Abstract |
1 吸入麻酔薬投与がラットの行動リズムに与える影響 ラットを明期12時間、暗期12時間の明暗条件下で2週間飼育した後に恒暗条件下に移し、7-10日間後にイソフルレンを恒暗条件下で4時間もしくは8時間投与し、行動リズムを観察した。麻酔は25cmX3の透明な箱を用い、そこに50%酸素31と1.5MACのイソフルレンを加湿加温して吹き込んで行った。麻酔投与はCT(circadian time)4-12、CT16-24、CT2-6、CT6-10、CT14-18、CT18-22に行われ、その間、体温、呼吸ガス、血圧、心拍などをモニターした。どの時間帯においても、麻酔前後で有意な位相変位はみられなかった。 2 時計遺伝子Perl mRNA発現に対する吸入麻酔薬の影響 マウスを12時間ごとの明暗条件下で飼育した後に1と同様の方法でZT(zeitgeber time)4-12に麻酔を行い2時間置きにマウスを2匹ずつ潅流固定して脳の凍結切片を作成し、perl mRNAに相補的なRIで標識したアンチセンスプローブにてin situハイブリダイゼーションを行い、視交叉上核におけるmRNA発現量をMCID画像システムを用いて定量した。麻酔中のZT6、8、10、12においてperl mRNA量は上昇していた。しかし、麻酔翌日のperl mRNAでは発現量のピークは低下していたものの、コントロールのマウスと同じZT4とZT6にピークが存在し、体内時計の位相には大きな変位が生じていないと考えられた。 さらに、ラットにおいて同じ時間帯に麻酔をかけ、麻酔中のZT8とZT12でラットを潅流固定し、同様に吸入麻酔薬の影響を見た。この場合にはコントロールと比べて、麻酔群では視交叉上核の腹外側部においてperl mRNA量の低下がみとめられた。今後この実験結果の検討を行うとともに、他の麻酔薬の効果を調べていく予定である。
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