2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞辺縁における電子伝達系の停滞がアポトーシスの発現に及ぼす影響と、その治療法
Project/Area Number |
12671470
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
長野 修 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (30263586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 方久 岡山大学, 医学部, 教授 (70033058)
武田 吉正 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (30294466)
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Keywords | 部分脳虚血 / NADH蛍光 / DC-ポテンシャル |
Research Abstract |
脳虚血における神経細胞死はネクローシスであると考えられてきた。しかし近年、脳梗塞の辺縁ではアポトーシスによる神経細胞死も発生することが観察されている。脳梗塞におけるアポトーシスは、1.ミトコンドリアの膜電位が低下 2.ミトコンドリア内チトクロームcやアポトーシス誘発因子が細胞質へ遊離 3.これら誘発因子によりカスペース3(蛋白分解酵素)が活性化、により核タンパク質が分解されるために発生すると考えられている。本研究は大脳皮質のNADHの蛍光を測定することでミトコンドリア電子伝達系の停滞状態を、非侵襲的に高い空間分解能(30μm×30μm)で測定し、これにより、ミトコンドリア電子伝達系の障害が神経細胞障害に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本年度はラットに中大脳動脈の結紮による3時間の部分虚血を負荷し、大脳皮質表面のNADH蛍光、DC-ポテンシャルの変化を経時的に観察した。虚血負荷24時間後に潅流固定を施行しヘマトキシリン・エオジン染色で組織障害度を観察した。脳梗塞の辺縁部では再発性の脱分極がNADH蛍光およびDC-ポテンシャルで観察され、蛍光強度とDC-ポテンシャルの電位変化には強い正の相関が見られた。大脳皮質第五層大型錐体細胞に細胞障害を引き起こす脱分極時間の閾値は約25分であった。本研究より、ミトコンドリア電子伝達系の停滞が神経細胞障害に強い影響を及ぼすことが示唆された。
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