2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞辺縁における電子伝達系の停滞がアポトーシスの発現に及ぼす影響と、その治療法
Project/Area Number |
12671470
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長野 修 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30263586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40108171)
武田 吉正 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30294466)
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Keywords | 部分脳虚血 / NADH蛍光 / アポトーシス |
Research Abstract |
脳虚血における神経細胞死はネクローシスであると考えられてきた。しかし近年、脳梗塞の辺縁ではアポトーシスによる神経細胞死も発生することが観察されている。脳梗塞におけるアポトーシスは、1.ミトコンドリアの膜電位が低下 2.ミトコンドリア内チトクロームやアポトーシス誘発因子が細胞質へ遊離 3.これら誘発因子によりカスペース3(蛋白分解酵素)が活性化、により核タンパク質が分解されるために発生すると考えられている。そこで当研究室では大脳皮質のNADHの蛍光を観察し、ミトコンドリア電子伝達系の停滞状態を、非侵襲的に高い空間分解能(30μm×30μm)で測定した。これにより、ミトコンドリア電子伝達系の停滞と神経細胞障害には強い相関関係があることがわかった。本年度は、脳保護効果が立証されているNMDA拮抗薬のMK-801を用いて、NADH蛍光の変化を観察した。キセノンランプで365nmの紫外線を脳表に照射し、大脳皮質ミトコンドリアのNADH(90%以上のNADHはミトコンドリア内に存在する)を励起した。虚血開始後、脱分極領域(虚血の中心)が約20分間で形成された。非治療群では周辺領域にNADH蛍光の増加を伴う再発性の脱分極が観察されたが、MK-801投与群では観察されず、ミトコンドリアの酸化還元状態は正常に保たれていた。ミトコンドリアに対する虚血ストレスの軽減が神経細胞に保護的に作用していると考えられた。
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