2000 Fiscal Year Annual Research Report
胸部交感神経のマイクロニューログラフィと誘発電位による活動性評価に関する研究-胸腔鏡下交感神経遮断術におけるモニタリングと遮断前後の変化について-
Project/Area Number |
12671473
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川井 康嗣 山口大学, 医学部, 助手 (30274161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 靖彦 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (90304485)
内田 研一郎 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (00294645)
|
Keywords | 原発性手掌多汗症 / 胸部交感神経幹 / 胸腔鏡下交感神経遮断術 / 交感神経機能 / 代償性発汗 / Skin Vasomotor Reflex / 交感神経皮膚反応 |
Research Abstract |
胸部交感神経遮断術の適正な遮断範囲決定に関する研究として、平成12年度は原発性手掌(腋窩)多汗症の治療として、両側の胸部交感神経幹を第2、3胸椎(肋骨)レベルで電気焼灼する胸腔鏡下交感神経遮断術を計画した.例数は18例で、36手掌に対して行った.男性10例、女性8例.年齢は13歳から42歳(平均26歳)であった.手術結果は、第2・第3胸椎(肋骨)レベルの肋骨上で遮断が可能であった場合は、同側の手掌を含む顔面から胸部までの発汗が停止した.36手掌中、32手掌で発汗は停止したが、2手掌で第3肋骨レベルでの遮断が不可で部分的な発汗停止にとどまり、2例で第2・第3肋骨レベルでの遮断が不可で結果は不変であった.遮断が不可であった原因は、肺癒着や異常血管の存在であった.代償性発汗はほぼ全例に認められたが、病的な、治療をするものはない.ホルネル徴候が出現した症例はなかった. 手術による重篤な合併症は認められず、自律神経失調症状や血圧低下、徐脈、低血圧などの循環不全状態も認めなかった.発汗は交感神経の活動により生じるが、発汗活動は手術中、麻酔薬により強力に抑制されるため、手術中は両側の手掌(示指)血流を測定した.執刀後血流が低下した手掌においては、同側の交感神経遮断が終了したと同時に血流が増加するという現象が認められた. 以上のことから、胸腔鏡下交感神経遮断術の交感神経遮断レベルは第2、3胸椎(肋骨)レベルで十分であると考えられたが、今後、最小限の代償性発汗と合併症である手術が施行できるように、その他の検査(Skin Vasomotor Reflexや交感神経皮膚反応など)の活用について検討する。
|