2001 Fiscal Year Annual Research Report
体外循環後の脳浮腫・血液脳関門破綻の発生機序に関する研究
Project/Area Number |
12671474
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 和慶 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (80314813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 靖彦 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (90304485)
中木村 和彦 山口大学, 医学部, 助教授 (50180261)
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Keywords | 心臓大血管手術 / S100b蛋白 / Neuron specific enolase / 体外循環 / 脳障害 |
Research Abstract |
体外循環(CPB)を用いた心臓大血管手術症例で,血清中の脳グリア細胞由来のS100b蛋白と神経細胞由来のNeuron specific enolase (NSE)を測定し,これらの値と脳障害との関連を検討した. 【対象と方法】CPB群:通常のCPB手術症例18例,SCP群:脳分離循環(SCP)手術7例を対象とした.手術中から術後2日目にかけて7測定点でS100b蛋白およびNSEを測定した.CPB群5例では縦隔術野血中のS100b蛋白およびNSEを測定し,うち3例ではセルセーバ血の両蛋白を測定した. 【結果】S100b蛋白の平均値はそれぞれCPB群SCP群ともに大動脈遮断解除/SCP終了後に最大となった(2.082.00 v.s. 1.46±0.77 ng ml^<-1>).NSE値はそれぞれCPB終了後/手術終了時に最大となった(29.1±14.0 v.s. 31.2±13.6 ng ml^<-1>).3例で脳障害が生じたが,これらの症例のS100b蛋白およびNSE値と脳障害を生じなかった症例の値は区別がつかなかった.縦隔術野血中のS100b蛋白およびNSEは,それぞれ52.5±56.3ng ml^<-1>,249±181ng ml^<-1>と血清と比べてそれぞれ375倍,17倍高く,セルセーバ血中の値は差がなかった. 【考察・まとめ】S100b蛋白およびNSEはCPBを用いた心臓手術で上昇するが,脳障害を生じた症例と生じた症例で明らかな差はみられなかった.これらの蛋白は縦隔術野血液中に著明に含まれ,CPBでこの血液を吸引返血することにより血清中の上昇を招いていると考えられる.したがって,CPBを用いた心臓手術でのS100b蛋白およびNSEの血清中の上昇は必ずしも脳障害を反映しない.CPBを用いた手術でこれらの蛋白を脳障害の指標とするためには,縦隔術野血液を返血しないかあるいはセルセーバへの回収洗浄操作が必要である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuyoshi Ishida, et al.: "Are serum S100 protein and neuron specific enolase the predictors of cerebral damage in cardiovascular surgery?"Anesthesiology. (Abstract). (2001)
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[Publications] Kazuyoshi Ishida, et al.: "Are serum S100 protein and neuron specific enolase predictors of cerebral damage in cardiovascular surgery?"J Cardiothrac Vasc Anesth. (submitted to).