2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血後の神経細胞傷害と傷害抑制に関する研究―アポトーシスおよび非アポトーシス性傷害の検討―
Project/Area Number |
12671475
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福田 志朗 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (70322245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 美志也 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60243664)
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
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Keywords | 前脳虚血 / アポトーシス / 遅発性神経細胞死 / H-Ras / TUNEL染色 / Manumycin A / 神経学的スコア / 海馬 |
Research Abstract |
ラット前脳虚血モデルによる海馬の遅発性神経細胞死における、アポトーシスおよび非アポトーシス的細胞死の発生について研究した。前年度の結果から、一過性脳虚血・再灌流後3日で、H-Rasが海馬で減少し、TUNEL染色結果からアポトーシス的細胞死が優位な神経細胞傷害が起きている可能性が示唆された。この結果から、Rasの阻害薬であるManumycin Aの脳室内投与でH-Rasのさらなる減少と、アポトーシス的神経細胞死増加を予想した。脳虚血・再灌流後の一過性の体重減少が術後3日の生存率に影響を及ぼすことから、この脳室内投与モデルを確立するため、Manumycin Aの脳室内投与後の神経学的スコアを確認した。イソフルランで麻酔を導入し、気管挿管した後、Manumycin A溶液(0.2mM,0.5mM,1.0mM,2.0mM、溶媒はDMSOと生理的食塩水)をそれぞれ50mlを約5分間かけて脳室内投与した。対照はDMSO20%溶液とした。脳室内投与後7日目のまで体重を測定し、Knockらの神経学的スコアのうち、「スクリーン回転」のカテゴリーを用いた(良好であれば0、最悪は3)。神経学的スコアは、投薬後の体重減少に伴い一過性にスコア1を示した例を2例認めたが、全体としてほぼスコアは0のままであった。HE染色では海馬での神経細胞に一部の核濃縮が認められている以外、大きな変化は認められなかった。以上から、Manumycin Aの脳室投与は、1.0mM以下の濃度であれば全身状態および神経学的に問題ないことが示唆された。この結果に基づき、虚血後のH-Rasの変化および神経細胞死の様態を検討中である。
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