2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671486
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
垣花 泰之 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (20264426)
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Keywords | 近赤外分光法 / チトクロームオキシターゼ / 超低体温 / 完全循環停止 / 脳酸素化状態 / S-100b蛋白 / 内頸静脈酸素飽和度 |
Research Abstract |
体外循環中に発生する脳障害の早期検出および病態把握対する近赤外光計測法(NIRS)によるチトクロームオキシダーゼ(cyt. ox.)測定の有効性を評価する目的で、イヌに低体温下完全循環停止(脳血流停止)モデルを作成し、cyt. ox.の酸化還元状態と、各種パラメータおよび術後脳障害の程度を比較検討した <方法>イヌに対外循環を導入し体温を低下させ(25℃と15℃)完全循環停止を60分間行った後復温し、対外循環を離脱するNIRS測定プローブは頭蓋骨に固定し、超音波血流計は頸動脈に装着.内頸静脈酸素飽和度(SjvO2)を連続的にモニタし、同時に脳細胞由来のS-100b蛋白の血中濃度を経時的に測定した.さらに近年NIRS装置(NIR300)で測定したcyt. ox.の変化がヘモグロビンのartifactであると報告された(Pediatr Res 49:770. 2001)ため、NIRO300と我々の4波長解析装置でcyt. ox.測定の信頼性に関して比較検討した <結果および考察>SjvO2は低体温に伴い上昇したが、完全循環停止時はあまり変化せず、対外循環再開により大きく低下した S-100b蛋白は完全循環停止時には緩除に還元された 今回の結果より、脳血流の完全停止時にはSjvO2やS-100b蛋白が脳障害あるいは脳酸素化状態の変化を反映しない可能性が示唆されたが、cyt. ox.は血流が完全に停止した状態でも脳内酸素化状態をリアルタイムに検出出来ることが判明した 一方、cyt. ox.の測定信頼に関しての実験では、対外循環下に純窒素で5分間の低酸素状態を作成するとcyt. ox.NIRO300ではほとんど変化せず、4波長解析では大きく還元が見られた シアン投与後に血液を希釈してNIRO300ではヘモグロビンの変化に伴いcyt. ox.は大きく還元されたが、4波長解析ではほとんど変化しなかった 以上の結果より、我々の4波長解析はNIRO300とは異なり、cyt. ox.の酸化還元状態を正確に反映している可能性が示唆された
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