Research Abstract |
1.周術期における手術部位感染surgical site infection(SSI)の解析のため,初年度に引き続き(1)SSIの評価,(2)リスクファクターの評価,(3)SSIとリスクファクターとの関連について検討した。 (1)SSIの評価:消化器外科手術,整形外科手術,眼科手術について,SSIを手術術式別および感染創の深さ別に分類してサーベイランスを実施した。18ヶ月間のサーベイランスで,消化器外科手術ではSSI発生率2〜11%,整形外科手術では1〜4%,眼科手術では0.01%であった。 (2)リスクファクターの評価:患者関連リスクファクターとしてASA麻酔前身体状況分類,年齢,糖尿病,喫煙,肥満,手術前の入院期間などをチェックした。手術関連リスクファクターとして,皮膚の消毒,除毛,手術時間,抗菌薬の予防的投与,手術創の汚染度,インプラントの有無,などをチェックした。 (3)SSIとリスクファクターとの関連について:消化器外科手術では開胸食道手術,大腸手術,胃切除術でSSI発生率が高く,手術時間,手術創の汚染度,抗菌薬の予防的投与との関連が強く示唆された。整形外科手術では,SSIと手術前の入院期間,手術創の汚染度との関連が示唆された。眼科手術ではSSIとリスクファクターとの関連は認められなかった。 (4)抗菌薬の予防的投与については,外科系12科を対象に手術術式別に抗菌薬が適正に選択されているかどうか継続して検討した。本年度は抗菌薬の不適正な選択の改善が認められた。 2.カテーテル関連感染 硬膜外カテーテルの留置において,カテーテル関連感染とリスクファクター(カテーテル材質,挿入部位,皮膚消毒法,挿入手技,留置期聞,挿入部のトレッシング)との関連について検討した。留置期間48時間以内では,感染は認められなかったが,留置期間120時間以上では複数の因子の関連が示唆された。 3.次年度は更に症例を増やし感染とリスクファクターの関連を検定する。
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