2002 Fiscal Year Annual Research Report
ショック及び臓器不全発生機序における一酸化炭素ラジカルの役割
Project/Area Number |
12671508
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Research Institution | NIPPON MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
小川 龍 日本医科大学, 医学部, 教授 (20008345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 卓 日本医科大学, 医学部, 助手 (10267205)
小林 徳行 日本医科大学, 医学部, 助手 (60287711)
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Keywords | 一酸化炭素ラジカル / ショック / 多臓器複合不全 / エンドトキシン / 盲腸結紮法 / NO・ / CO・ / L-カナバニン |
Research Abstract |
本研究では、ウイスター系ラットを対象として、重症感染症のモデルである盲腸穿孔結紮モデル及びエンドトキシンショックモデル、及びその結果発生する多臓器複合不全モデルを作成して、一酸化炭素ラジカル(CO・)の関与を追求した。 体重300g前後のラットにネンブタール(65/kg)の麻酔下に気管内挿管し、呼吸を調節した。尾静脈より大腸菌由来のLPSO10mg/kgを投与すると、平均血圧は1時間後より有意に低下し、6時間後には平均60mgHgに達する。あるいは同麻酔下に開腹し、盲腸を結紮し、18G針で4カ所穿刺した。その後10数時間でショックに陥った。 動物の血液中のニトロシルヘモグロビン(NO-Hb)及びカルボキシヘモグロビン(CO-Hb)を定量したが、HO-Hbは電子スピン共鳴装置によった。測定条件は坂本らによった。CO-Hbは血液ガス測定装置(ジオメータ社ABL-625)によった。ショックモデルより経時的に採血しNO-Hb、CO-Hbを定量した。両者は対照時と比較して、両群において2時間あるいは6時間後には有意に上昇した。NO-Hbでは最高値1,500mcM、CO-Hbでは0.45g/dLまで上昇した。LPS投与後6時間においてラットを屠殺して大腿動脈を採取し、誘導型NO合成酵素(iNOS.)、ヘム酸化酵素(HO)を定量すると活性が亢進し、組織化学的にも酵素活性が誘導されていた。 iNOS及びHOの役割を観察するため、それらの阻害薬であるL-canavanine(20mg/kg)あるいは亜鉛protoporphirin(0.1mcg/kg)を前処置した。阻害薬によって、NO・、CO・ともに合成が抑えられたが、NO・の抑制程度が大であった。 平成14年度の研究において、ラット肝細胞のHO、特にHO-1(1型HO)のmRNAの誘導がL-canavanine処置群で抑制されるとの結果を得た。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 坂本篤裕, 小川 龍, ほか: "エンドトキシンショック時の一酸化窒素と一酸化炭素の関連"日本集中治療医学会雑誌. 8巻1号. 15-19 (2001)
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[Publications] 小川 龍, ほか: "敗血症性ショック-最近の概念-"小児科. 41巻12号. 2139-2145 (2001)
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[Publications] 小川 龍, ほか: "抗炎症薬はMODFを防止できるか"医学のあゆみ. 186巻1号. 77-80 (2001)
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[Publications] Kishikawa H, Ogawa R, et al.: "Nitric oxide suppresses hepatocyte apoptosis induced By free radicals"Biomed Res. 22巻2号. 83-89 (2001)
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[Publications] Suzuki N, Ogawa R, et al.: "Effect of L-canavanine, an inhibitor of inducible nitric Oxide synthase, on myocardial dysfunction in shock"J Nippon Med School. 68巻1号. 13-18 (2002)
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[Publications] 小川 龍: "ショックとサイトカイン"Heart View. 6巻7号. 1014-1019 (2002)
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[Publications] 小川 龍: "ショック(「集中治療医学」のうち)"秀潤社. 15 (2001)