2000 Fiscal Year Annual Research Report
尿排出時の仙髄反射活性測定を用いた痴呆症例における機能性尿失禁の鑑別診断
Project/Area Number |
12671517
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浪間 孝重 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70282069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70282134)
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Keywords | 痴呆 / 機能性尿失禁 / 球治綿体反射 |
Research Abstract |
本研究は、仙髄反射活性(主に球海綿体反射)を応用した排尿時の尿道括約筋弛緩に関する新しい客観的検査法の確立と、本検査法を尿失禁を伴う意志疎通困難な痴呆症例に臨床応用して、これまで困難であった無抑制括約筋弛緩による尿失禁と機能性尿失禁の客観的鑑別診断を行うことを目的としている。 本年度の具体的な到達目標は、以下の通りであった。 簡便で非侵襲的な排尿中の仙髄反射活性測定法の確立を目指す。このため、神経学的正常例と無抑制括約筋弛緩を呈する意志疎通可能な臨床例を対象として、精度の高い侵襲的検査法と簡便な非侵襲的検査の比較を行い、精度が担保される最も簡便な非侵襲的検査法の手順を確定する。また、排尿中のみならず蓄尿時における仙髄反射活性測定を同時に行い、蓄尿時の両者の相違についても吟味する。 その成果として、正常11例と脊髄損傷13例を対象に、膀胱空虚時と充満時における仙髄反射活性について、球海綿体反射の誘発電位反応を用いて検討した。その結果、膀胱空虚時と充満時の比較では、正常例および脊髄損傷例ともに充満時に振幅は増大した。さらに、脊髄損傷例は正常例に比し、膀胱充満による振幅の増大が顕著であった。また、脊髄損傷例における膀胱充満による顕著な振幅増大は、上位中枢からの下行性経路の障害によるものと思われた。排尿時のみならず、膀胱充満時の仙髄反射活性を膀胱空虚時と比較することで、仙髄と上位排尿中枢との連続性をよ客観的に評価できると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 海法康裕,浪間孝重 他: "膀胱充満によって明暸な球海綿体反射が出現した脊髄動静脈奇形による神経因生膀胱の1例"日本泌尿器科学会会誌. 91. 641-644 (2000)
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[Publications] 海法康裕,浪間孝重 他: "球海綿体反射を用いた横散筋性尿道括約筋の筋電図学的研究-膀胱蓄尿状態による仙髄反射活性の変化に関する検討-"日本泌尿器科学会会誌. 91. 715-722 (2000)