2000 Fiscal Year Annual Research Report
癌に特異的な前立腺特異抗原の性状解析と測定キットの開発
Project/Area Number |
12671528
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80230704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 哲將 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10204968)
岡本 圭生 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50303780)
若林 賢彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80191724)
片岡 晃 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80293835)
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Keywords | 前立腺特異抗原 / 前立腺癌 / 癌特異抗原 |
Research Abstract |
近年、質量分析計の機能が向上し、二次元電気泳動と飛行時間型質量分析計(TOF-MS)を用いたプロテオミクス技術は、遺伝子の解析だけでは十分に解明できない蛋白質の糖鎖や切断等の翻訳後修飾に基づく多様性の解析を可能にした。われわれは、この技術を用いて前立腺肥大症組織、精漿、LNCaP由来の前立腺特異抗原(PSA)の多様性について解析した。その結果、二次元電気泳動法により、従来の報告より多くのPSA分子種を分離することができ、それぞれの分子種の一次構造を明らかにし、PSAのプロテインカタログを作製することができた。結果的に、全部で約20種類のPSAアイソフォームを同定した。これらの中には、今まで知られていなかった新しい分子種が含まれており、また認識されていなかったcleavage部分を発見することもできた。精製PSAは、精漿中のPSAと同様のプロテインカタログパターンを示した。前立腺肥大症に含まれるPSAは、精製PSAのプロテインカタログにほぼ類似のパターンを示した。ただし、分子量28000付近のグループは精製群と比べて、より高度の多様性を呈した。一連の結果は、非成熟型とも呼ぶべき分泌されない細胞内タイプのPSAが存在することを推測させる。前立腺癌細胞株LNCaPが産生するPSAを調べたところ、高分子量タイプが多いことが判明した。やはり、分子量28000付近のグループは精製群と比べて、より高度の多様性を呈した。これらの結果から、癌細胞において何らかの理由でcleavageが抑制されていると考えられた。癌性PSAと非癌性PSA間の上記の違いは、前立腺癌の診断に利用可能な非常に大きな特徴と思われる。
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