2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精巣腫瘍細胞特異性プロモーターを応用した精巣腫瘍遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
12671530
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
後藤 章暢 神戸大学, 医学部, 助教授 (70283885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守殿 貞夫 神戸大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30030935)
白川 利朗 神戸大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70335446)
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Keywords | 精巣腫瘍 / 遺伝子治療 / 細胞特異性 / β-HCG / プロモーター / アデノウイルス / TK / Replication Competent Adenovirus |
Research Abstract |
本研究では、化学療法抵抗性の進行性精巣腫瘍患者の約7割以上で血清β-HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の上昇を認めることから、β-HCGのプロモーターを臓器特異性プロモーターとして応用した遺伝子治療法の開発とその有用性を研究目標とした。既に予備実験として、729塩基対のβ-HCGプロモーターのDNAをクローニングし、ルシフェレース遺伝子を組み込んだプラスミドベクターに挿入した。そのプラスミドベクターを様々な細胞に遺伝子導入して、ルシフェレース活性を測定し、β-HCGプロモーターの細胞特異的活性を確認した。結果はβ-HCGを産生する絨毛癌細胞(JAR)、胎児性癌細胞(NEC8、NEC14)にのみ高レベルのプロモーター活性を認めた。これらの研究成果によりβ-HCGプロモーターを用いたヒト精巣腫瘍遺伝子治療の有用性が確認された。この結果より、本年度は精巣腫瘍に対する遺伝子治療としてクローニングした729塩基対β-HCGプロモーターを用いてAd-β-HCG-TKを作製した。このAd-β-HCG-TKベクターを用いて様々な細胞(絨毛癌細胞(JAR)、胎児性癌細胞(NEC8、NEC14)、前立腺癌細胞(PC-3、DU145)、膀胱癌細胞(WH))に対する抗腫瘍性を検討した結果、β-HCGを産生する絨毛癌細胞(JAR)、胎児性癌細胞(NEC8、NEC14)細胞株のみに特異的に抗腫瘍性が認められた。他の正常組織にも同様に、細胞障害作用は認められなかった。これと同時に次世代の精巣腫瘍に対する遺伝子治療として、クローニングした729塩基対β-HCGプロモーターで制御されるE1A遺伝子を組み込んだReplication Competent Adenovirusの作製を現在行っている。
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