2000 Fiscal Year Annual Research Report
ニューキノロン耐性を中心とする薬剤耐性淋菌に関する研究
Project/Area Number |
12671542
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 正利 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30171797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持田 蔵 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (80315069)
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Keywords | 淋菌 / 薬剤感受性 / 薬剤耐性 / キノロン耐性 / ペニシリ耐性 / テトラサイクリン耐性 / 栄養要求型 / 分離頻度 |
Research Abstract |
1999年に福岡市で分離した淋菌246株に対する各種薬剤の最小発育阻止濃度(MIC)をNCCLS法に準じた寒天平板希釈法で測定し、1981〜1984年分離淋菌に対するMICと比較するとともに、各種薬剤耐性淋菌の分離頻度を算出した。また、Catlinの方法に準じて淋菌の栄養要求型別を行った。キノロン系薬のciprofloxacin(CPFX)の1999年分離株に対するMIC90値(8μg/ml)は、1981〜1984年分離株に対する値(0.06μg/ml)より128倍も高い値を示した。また、同系統のnorfloxacin、levofloxacin、およびsparfloxacinの1999年分離株に対するMIC90値も、1981〜1984年分離株に対する値より64〜128倍も高い値を示した。セフェム系薬のcefiximeの1999年分離株に対するMIC90値は、1981〜1984年分離株に対する値より4倍高い値を示したものの、その他の抗菌薬の1999年分離株に対するMIC90値には、目立った上昇はなかった。各種薬剤耐性淋菌の分離頻度は、キノロン耐性淋菌が22.8%(56株)で最も高く、以下、ペニシリン耐性淋菌16.3%(40株)、テトラサイクリン耐性淋菌8.1%(20株)、セフェム低感受性淋菌2.8%(7株)の順であった。なお、ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)の分離頻度はわずか1.2%(3株)であり、スペクチノマイシン耐性淋菌は1株も分離されなかった。このようにキノロン系薬に対する淋菌の耐性化が特に目立った。淋菌の各種栄養要求型の頻度は、proline要求型が56.9%(140株)で最も高く、以下、prototrophic16.7%(41株)、arginine要求型1.6%(4株)などの順で、以前の検討と比べproline要求型が増加していた。CPFXのproline要求型に対するmedian MIC値(0.25μg/ml)は、それ以外の栄養要求型に対する値(0.008μg/ml)より有意に高かった(p<0.0001)。このようにキノロン耐性淋菌の増加にproline要求型の増加が関係している可能性が示唆された。
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