2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニューキノロン耐性を中心とする薬剤耐性淋菌に関する研究
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12671542
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 正利 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30171797)
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Keywords | 淋菌 / 分離頻度 / キノロン耐性 / テトラサイクリン耐性 / ペニシリン耐性 / セフェム耐性 / ペニシリナーゼ産生 / 耐性機構 |
Research Abstract |
1.各種薬剤耐性淋菌の分離状況:2001年に福岡市で分離した淋菌208株の各種抗菌薬に対する感受性を測定し、各種薬剤耐性菌の分離状況を検討した。薬剤感受性測定はアメリカ法に準じた寒天平板希釈法を用い、β-ラクタマーゼ産生能はニトロセフィン法で測定した。キノロン耐性淋菌(ciprofloxacin MIC≧1μg/ml)、ペニシリン耐性淋菌(MIC≧2μg/ml)、テトラサイクリン耐性淋菌(MIC≧2μg/ml)の分離頻度は、それぞれ64.4%、13.4%、13.9%であった。なお、ペニシリナーゼ産生淋菌(PPNG)の分離頻度はわずか1.4%であった。セフェム中程度耐性淋菌(cefixime MIC≧0.5μg/ml)は1株も分離されなかった。しかし、cefiximeのMICが比較的高い0.12〜0.25μg/mlに分布する株の分離頻度は23.6%と高かった。スペクチノマイシン耐性淋菌(MIC≧128μg/ml)は1株も分離されなかった。1993〜2000年までの各種薬剤耐性淋菌に関する我々の成績と比較して、キノロン耐性淋菌の著明な増加傾向を認め、またテトラサイクリン耐性淋菌およびペニシリン耐性淋菌の分離頻度も高かった。 2.淋菌のセフェム耐性機構:次に、最近注目されているセフェム系薬に耐性を示す淋菌の耐性機構を、ペニシリン結合蛋白(PBP)2の構造遺伝子であるpenA遺伝子の変異を解析することで検討した。2000年に分離した6株のセフェム中程度耐性淋菌(cefixime MIC=0.5μg/ml)および3株の感受性淋菌を対象とした。中程度耐性株は全株がβ-ラクタマーゼ陰性で、キノロン系薬に耐性または中程度耐性であった。PBP2における323〜480番目のアミノ酸配列のうち33カ所にモザイク状のアミノ酸置換が認められた。一方、感受性株にはアミノ酸置換は認められなかった。以上より、セフェム中程度耐性淋菌においてはPBP2のアミノ酸変化による薬剤の結合親和性の低下が耐性獲得に関係している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tanaka M, (他7名): "A remarkable reduction in the susceptibility of Neisseria gonorrhoeae isolates to cephems and the selection of antibiotic regimens for the single-dose treatment of gonococcal infection in Japan"J Infect Chemother. 8. 81-86 (2002)
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[Publications] 田中正利, (他10名): "淋菌感染症の治療に関する臨床的および基礎的検討"西日泌尿. 64. 324-337 (2002)
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[Publications] 田中正利: "STDと薬剤耐性-淋菌-"日性感染症会誌. 13. 44-58 (2002)