2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト排尿筋における神経-筋伝達機構と受動的膜特性の検討
Project/Area Number |
12671543
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関 成人 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90294941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 憲功 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40294912)
伊東 祐之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80037506)
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Keywords | ヒト膀胱排尿筋 / 細胞内微小電極法 / 神経-筋伝達 / ATP / 脱分極 / カリウムチャネル |
Research Abstract |
前立腺全摘出術あるいは膀胱全摘出術の際に得られたヒト膀胱排尿筋標本に対して1)等尺性収縮法2)ホールセル電位固定法3)細胞内微小電極法を応用してその神経-筋伝達機構ならびに細胞膜カリウムチャネルの特性を検討している。膀胱の支配神経である副交感神経の神経-筋伝達物質として、アセチルコリンとともに重要とされるATPの収縮機構に関しては、シナプス後膜のP2x受容体が関与するとされているが、ウサギならびにヒト排尿筋の収縮実験では二相性の収縮反応が得られており、このうち後半の収縮はP2x受容体脱感作後も残存することからP2y受容体が関与することがほぼ判明しており、またその機序としてイノシトール3リン酸(IP_3)による細胞内ストアサイトからのCaイオンの放出が考えられるため、P2y受容体阻害薬ならびにIP_3受容体ブロッカーを用いて解析を実施中である。また細胞内微小電極法によるヒト排尿筋細胞の膜電位測定を行っており、アセチルコリンならびにカルバコールによる膜脱分極の閾値を詳細に測定中である。この結果から、神経の興奮に伴う排尿筋収縮が主に膜の脱分極を伴う反応(電位依存性Caチャネルを介する)か、脱分極を伴わないCa濃度の増加によるものであるかが推測できると考えている。実験回数を重ねて検討中である。ホールセル電位固定法を用いて、排尿筋細胞膜のATP依存性のKチャネル(KATPチャネル)の解析も行っている。既に、ヒト排尿筋単離細胞では細胞内ATP感受性が非常に高い特性を有するK電流の解析がほぼ完了しており、現在は単一チャネルのkineticsを詳細に解析中であるが、細胞内液をATP freeとした条件下では79psのコンダクタンスを有するシングルチャネル活性が観察されている。 この特性は心筋や膵臓ベータ細胞に近く、他の平滑筋とはチャネル蛋白の組み合わせの相違があるものと考え、詳細に検討中である。
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