2000 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞アポトーシスの制御機構に着目した卵巣機能不全の病態解明の研究
Project/Area Number |
12671581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久具 宏司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30322051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 穣 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80260496)
百枝 幹雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50221627)
矢野 哲 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90251264)
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Keywords | 卵巣 / 卵胞 / 黄体 / アポトーシス / bcl-2遺伝子 / ホルモン |
Research Abstract |
25日齢の雌ラットの発育卵胞を摘出して器官培養を行う系を用いて実験を行った。卵胞摘出前にequine chorionic gonadotropin(eCG)を作用させると、TUNEL法によるアポトーシスの発現が有意に減少することが示された。また同時にこのアポトーシス発現の減少に合わせてカスパーゼ3のmRNAの発現が減少していた。このことより、卵胞におけるアポトーシスの発現にはカスパーゼ、なかでもカスパーゼ3が関与していることが示唆された。 インフォームドコンセントの下に得られたヒト卵巣を使用した実験では、卵巣組織内にbcl-2遺伝子群のmRNAが存在することが示され、特にアポトーシスを起こしつつある領域でのbaxの発現が顕著であった。これらの結果より、ヒトにおいても卵胞閉鎖はアポトーシスの機序により起きることがあらためて確認され、アポトーシスを促進・抑制するホルモンなどの物質はラットにおける場合と同様であることも示された。またアポトーシスの実行に関与する遺伝子は線虫などの原始的な生物でほぼその機構が解明されているが、その調節機構は進化の過程を通じて保存され、高等生物でも類似の調節機構が存在するとされている。今回、bcl-2遺伝子群がアポトーシス出現の促進・抑制に関与していることが示された点はこれらの仮説に沿う結果といえる。このほか、卵胞内における血管新生因子の発現を示唆する結果などが得られ、卵胞発育閉鎖の機序を総合的に解明する一助となったと考えられる。 bcl-2遺伝子群以外の遺伝子群の関与、さらに排卵後の黄体におけるアポトーシス調節機構の解明が今後の課題である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hirotaka Matsumi,Koji Kugu, et al.: "Regulation of nitric oxide synthase to promote cytostasis in ovarian follicular"Biology of Reproduction. 63・1. 141-146 (2000)
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[Publications] Yuji Taketani, Koji Kugu, et al: "Recent developments and dilemmas in infertility treatment."Asian Medical Journal. 43・7. 303-311 (2000)
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[Publications] Kaori Koga,Koji Kugu, et al.: "Evidence for the presence of angiogenin in human follicular fluid and the up-regulation of its production by hCG and hypoxia."The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 85・9. 3352-3355 (2000)
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[Publications] Kaori Koga,Koji Kugu, et al.: "Increased concentrations of sTNFR I and II in peritoneal fluid from women with endometriosis."Molecular Human Reproduction. 6・10. 929-933 (2000)
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[Publications] Tetsu Yano,Koji Kugu, et al.: "Inhibition of human epithelial ovarian cancer cell growth in vitro by somatostatin analog RC-160."Oncology. 59・Suppl1. 45-49 (2000)