2001 Fiscal Year Annual Research Report
閉経後女性における虚血性心疾患の発症予防を目的とした新しいホルモン補充療法の開発
Project/Area Number |
12671607
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
若槻 明彦 高知医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90191717)
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Keywords | 閉経後女性 / エストロゲン / 酢酸メドロキシプロゲステロン / LDL粒子径 / LDL酸化 / 血管内皮機能 |
Research Abstract |
(目的-1)我々は,エストロゲン補充療法(ERT)によるトリグリセライド(TG)の上昇がLDLを小粒子化することやLDLの小粒子化の詳細な機序を明らかにした。今回はERTによるLDLの小粒子化が動脈硬化に促進的かどうかを検討した。閉経後女性を対象とし,結合型エストロゲン(CEE)0.625mg/日を3ヶ月間投与後,脂質濃度,LDL粒子径および,LDLの被酸化性の指標としてTBARS濃度を測定した。CEE投与によってTGの増加が15mg/dl未満の群ではLDL粒子径に変化なく,TBARSは有意に低下した。しかし,TGが15mg/dl以上増加する群ではLDLは小粒子化し,TBARSは逆に増加することが示された。従って,CEE投与後,TG増加のない症例ではエストロゲンの抗酸化作用が期待できるが,TGが増加する症例ではLDLが小粒子化し,エストロゲンの抗酸化作用に相殺的に作用することが明らかになった。 (目的-2)動脈硬化の発症と密接に関連する血管内皮機能は閉経後に低下し,ERTで改善することが報告されている。今回,エストロゲンに併用する酢酸medroxyprogesterone(MPA)がエストロゲンの内皮機能改善作用にどのような影響を与えるかを検討した。閉経後女性を対象とし,CEE0.625mg/日を3ヶ月投与するCEE群,CEEにMPAを2.5mgあるいは5.0mg/日を3ヶ月間併用投与するCEE+2.5群,CEE+5.0群に分別した。血管内皮機能はshear stress testによる内皮由来の血管拡張反応を用い(FMD),血管平滑筋機能はnitroglycerin投与による血管拡張反応を用いた(NID)。FMDはCEE群で有意に上昇したが,MPAの併用量と用量依存的に低下し,2.5群ですでに投与前と有意差のない値にまで低下した。NIDは3群とも変化を認めなかった。従って,MPAは血管内皮機能の抑制因子と考えられ,エストロゲンの内皮機能改善効果に相殺的に作用することが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Akihiko Wakatsuki: "Effect of medroxyprogesterone acetate on endothelium-dependent vasodilation in postmenopausal women receiving estrogen"Circulation. 104. 1773-1778 (2001)
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[Publications] Akihiko Wakatsuki: "Estrogen-induced small low densitylipoprotein particles may be atherogenic in postmenopausal women"J Am Coll Cardiol. 37. 425-430 (2001)
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[Publications] Akihiko wakatsuki: "Estrogen and lipoproteins"Clin Lab.. 47. 339-350 (2001)