2002 Fiscal Year Annual Research Report
ドプラ心弁信号および動脈波微小変位計測を用いたヒト胎児心循環機能評価に関する研究
Project/Area Number |
12671609
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 仁雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40038766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 秀昭 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (70253408)
佐藤 昌司 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (00225947)
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Keywords | ヒト胎児 / 下行大動脈 / 脈波 / 心機能 / 脈圧 / 等容性収縮期 / 胎児胎盤機能不全 / 心循環不全 |
Research Abstract |
筆者らは、ひとつには、超音波ドプラ胎児心時相解析システムを用いて、正常妊娠および胎盤血管病変を合併した異常妊娠において胎児心臓の等容性収縮期(ICT)を測定し、その臨床的意義を検討すること、いまひとつには、エコートラッキング法を用いて正常胎児における下行大動脈の脈波波形を記録し、脈波成分の妊娠週数進行に伴った変化を明らかにすること、ならびに胎児心機能評価法としての本法の有用性を検討するべく研究を遂行してきた。その結果、まず、正常妊娠における胎児ICTは妊娠週数によらず一定であった。また、胎盤血管病変を伴う異常妊娠例において、分娩前ICTと周産期予後(胎児心拍陣痛図におけるnon-reactive pattern出現の有無、胎児超音波パルスドプラ血流計測法における中大脳動脈血流波形のPulsatility index減少の有無および出生体重)について比較したところ、ICT上昇例は有意に周産期予後が不良であった。一方、ヒト胎児下行大動脈脈波にづいては、正常胎児では妊娠20週以降、妊娠週数の進行に伴ない下行大動脈の収縮期径(PSD)、拡張末期径(EDD)および拡張幅(Amp)はそれぞれ直線的に増加すること、また拡張率(Amp : EDD ratio)は直線的に減少することが分かった。胎児心疾患合併症例19例中、心機能低下群は正常群に比し、AmpならびにAmp : EDD ratioが低値である頻度が有意に高く、また、心機能低下群は全例でAmpならびにAmp : EDD ratioの低下を示した。以上の成績から、胎児心臓の等容性収縮期は、正常妊娠においては、妊娠週数および心拍数によらず一定であり、胎盤血管病変を合併した異常妊娠においては、その上昇が児の周産期予後の予測に有用であること、さらに、胎児の心機能評価法として胎児下行大動脈脈波の測定は子宮内での胎児心機能低下を抽出するのに有用であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)