2002 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜及び脱落膜におけるインターロイキン―1転換酵素Caspase-1の検討
Project/Area Number |
12671626
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
石原 理 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70176212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 洋之 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40296249)
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Keywords | インターロイキン-1 / ICE / COX-2 / 子宮内膜 / 脱落膜 |
Research Abstract |
インターロイキン-1(IL-1)は、活性がない31kDのproIL-1として細胞内で合成された後に、細胞内プロテアーゼのひとつインターロイキン転換酵素(ICE/Caspase-1)により代謝され、17.5kDの活性型IL-1として、細胞外に分泌される。本研究で用いた脱落膜細胞においても、IL-1は、proIL-1としてまず産生され、代謝後に分泌された。すなわち、IL-1の産生分泌は、サイトカインネットワークだけでなく、細胞内におけるICE/Caspase-1によっても調節される可能性がある。ところが、ICE/Caspase-1自体が活性のない前駆体pro-caspase-1として細胞内に存在しており、この酵素が活性を持つためには、さまざまな炎症を起点とするカスケードにより刺激されねばならない可能性がある。すなわち、IL-1の産生調節機構を解明するには、ICEの代謝および活性の調節自体をも検討する必要性を示すが、本研究では、脱落膜にICEが存在することを示すにとどまった。また、ICE/Caspase-1は、IL-18をproIL-18から活性化し、IL-18はIL-1Rに結合するだけでなく、IL-1、TNF、Fas-1igandなどシクロオキシゲナーゼー2の誘導に関連する多くの遺伝子発現を誘導する。したがって、ICE/Caspase-1の調節は、IL-18を介する経路にも関連する可能性があるが、IL-18の産生は検出限界以下で、この可能性は小さいと考えられる。 一方、Pro IL-1をIL-1に転換しうる酵素として、ICE/Caspase-1の他にproteinase-3、cathepsin G、chymotrypsin、elastase、そして、さまざまなMMPなどが知られる。ICE/Caspase-1のノックアウトマウス系でIL-1βが全く産生されなくなることから、生物学的には、ICE/Caspase-1がもっとも重要な役割を持つ可能性が高いが、今回の検討は、必ずしも他の酵素の関与を否定するものではない。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 石原理: "多胎妊娠防止のための二胚移植とその限界"産婦人科の実際. 51. 261-266 (2002)
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[Publications] 石原理, 出口顕: "配偶子提供およびIVFサロゲ-トに関する英国とスウェ-デンの事情"産科と婦人科. 69. 237-242 (2002)
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[Publications] 石原理, 斉藤正博: "原因不明不妊に対するCOH"Hormone Frontier in Gynecology. 9. 243-247 (2002)
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[Publications] 石原理: "生殖革命の進展-体外受精、クロ-ン、代理母-"日本産科婦人科学会埼玉地方部会誌. 32. 96-107 (2002)
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[Publications] 梶原健, 石原理: "「特定胚」と生殖医学研究"産婦人科の世界. 54. 1089-1096 (2002)
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[Publications] 岡垣竜吾, 梶原健, 石原理: "抗プロゲステロン剤"Hormone Frontire in Gynecology. 9. 399-401 (2002)
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[Publications] 石原理: "埼玉県母子保健マニュアル"埼玉県健康福祉部こども家庭課. 34-39 (2002)