2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671635
|
Research Institution | NIPPON MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
石川 源 日本医科大学, 医学部, 助手 (20287767)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 倫太郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (30267174)
|
Keywords | アデノシン / 胎児 / 冠動脈 / No Reflow / 血小板 |
Research Abstract |
冠動脈疾患において、冠動脈狭窄または閉塞が解除された後も心筋血流が再開しない現象、いわゆるNo Reflow現象が冠動脈血行再開後の心機能の回復をさまたげ心筋障害を惹起する。このNo Reflow現象の本態は微小血管障害である。したがって微小循環障害改善作用を保持するアデノシン製剤やジピリダモール等のアデノシン作動薬の微小血管障害抑制機構における役割が注目を集めている。さて、胎児の血清アデノシン濃度は成人より数倍高く、しかも胎児および新生児心筋では冠動脈狭窄および閉塞などの発症はきわめて稀である。本研究では胎児における心筋の血流維持機構におけるアデノシンの役割を解明することを目的として研究を実施し、以下の結果を得た。 1.羊胎仔心冠動脈血流量の同定 妊娠羊胎仔慢性実験モデルを用い、胎仔食道内に細径超音波探査子を装置し、反復臍帯遮断により胎仔虚血・再還流ストレスを加え、経食道的に胎仔心筋の冠動脈血流量の変化を同定した。 2.胎仔心筋におけるNo Reflow現象抑制機構の解明 同時に心房、心室血中アデノシン濃度およびプロテインキナーゼC活性を測定し、ついでアデノシン受容体拮抗物質8-スルファフェニルテオフィリンで前処置し、同一実験モデルにおいて虚血・再還流ストレスを加え、胎仔冠動脈血流量の変化を測定した。同時に心筋コントラストエコーにより、心筋障害の度合いをトレースした。 以上の研究より、胎内において限られた酸素供給と、分娩などにより頻回に起こる臍帯圧迫ストレスに対し、胎児心筋ではプロテインキナーゼCを介したアデノシン産生が上昇し、血小板凝集抑制し、さらに胎児冠血管のトーヌスを抑制することでNo Reflow現象などの胎児心筋微小循環障害の発症を抑制していると考えられる。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Suzuki, S. et al.: "Fetal circulatory responses to maternal blood loss"Gynecol Obstet Invest. 51・3. 157-9 (2001)
-
[Publications] Suzuki, S. et al.: "Changes in fetal plasma adenosine and xauthine concentrations during fetal asphyxia with maternal oxygenation"Tohoku J Exp Med. 192・4. 275-81 (2000)
-
[Publications] Yoneyama, Y. et al.: "Plasma adenosine levels and P-selection on platelets in preeclampsia"Obstet Gynecol. 97・3. 366-70 (2001)