2001 Fiscal Year Annual Research Report
外有毛細胞の細胞膜内粒子の多様性とエネルギー伝達の原子間力顕微鏡による直接的解析
Project/Area Number |
12671646
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 卓二 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10282097)
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Keywords | 蝸牛外有毛細胞 / 細胞骨格 / 細胞長変化 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
モルモット蝸牛より単離した外有毛細胞を用いて、以下の如き結果を得た。 1.Dispaseを用いて酵素処理し単離した後、Glutaraldehydeにて固定した。 2.原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope ; AFM)のtapping modeを用いて、固定した外有毛細胞の細胞側壁を調べた。 3.細胞側壁はモーター蛋白が密に存在する細胞膜と、その内側に細胞骨格、更にそれらを結びつけると考えられているピラーからなることが知られている。 4.外有毛細胞基底部から頂部にわたる全長において、円周方向に周期的に現れるフィラメントを観察した。その間隔は15-103nmと分布しており、平均間隔は49±18nm(平均±標準偏差)であった。 5.基底部から0.85-1.0(基底部を0、頂部を1とした場合)の頂部に近い部分と、それ以外の部分では、このフィラメントの間隔は有意に異なり、それぞれ44nmと54nmであった。 6.tritonX100にて細胞膜を破壊し、細胞膜の影響を除外した条件で観察したところ、同様のフィラメントが観察された。 7.外有毛細胞の細胞骨格としては、円周方向にスプリング状に存在するactin filament、それに直交するspectrinが知られている。今回観察した円周方向のフィラメントの間隔は、これまで、他の方法で報告されているactin filamentの間隔(61.6±8.Onm、56.2±7.3nm)に近い値であった。 8.以上のことより、今回観察した円周方向のフィラメントはactin filamentであると考えられ、外有毛細胞はその頂部でactin filamentがより密に存在していることがわかった。
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