2000 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚関連神経系の再生と分化及び線維芽細胞増殖因子の役割に関する研究
Project/Area Number |
12671653
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 英生 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (60251815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 豊 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (70323988)
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Keywords | 嗅球 / 嗅上皮 / 再生 / Bromodeoxyuridine / NCAM / PGP9.5 |
Research Abstract |
動物の嗅覚関連神経細胞は再生能力を有する特異な神経細胞である。実際動物実験においては嗅神経切断後約1カ月で速やかに嗅上皮内の嗅細胞は再生することが知られている。また最近では側脳室傍より幹細胞が嗅索を経て嗅球内に移動する報告もみられる。 今回我々は嗅上皮及び嗅球内における分裂細胞(幹細胞)の同定とその起源及び動態について検討した。Bromodeoxyuridine(BrdU)にて標識した分裂細胞を抗BrdU抗体で、同定し、その局在及び数の計測を行い、また神経細胞のマーカーとして、Neural Cell Adhesion Molecule(N-CAM)、Protein Gene Product 9.5(PGP9.5)、Calbindin D28Kなどの蛋白に対する抗体を用いて各採取標本における神経細胞の同定を行い、これら抗体とさらに上述の抗BrdU抗体の組み合わせによる免疫組織化学二重染色により、分裂細胞の神経細胞への分化の様子を観察した。嗅上皮内では基底細胞の直上に存在する細胞が幹細胞(前駆細胞)であり、確かに二重染色により嗅細胞に分化していることは従来通りであった。一方嗅球内にもBrdUにて標識される細胞は存在することが分かったが、以前よりいわれているように側脳室傍に由来するものからの細胞だけなのかあるいは嗅球内にもともと存在するものも含まれているのかは嗅索を嗅球側で切断することの手技的困難性もあり、今回の検討では不明であった。また、嗅上皮内嗅細胞と異なり、マーカーに対する染色性がまちまちで、確かにこのBrdU標識細胞が嗅球内神経細胞に分化するものかの確認も出来なかった。今後他のマーカーを用いるなど工夫が必要と思われた。
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