2000 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素によるDNA損傷と鼻副鼻腔癌の発癌に関する研究
Project/Area Number |
12671664
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹内 亨 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00188161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胥 宝会 鹿児島大学, 医学部, 助手 (00264408)
青山 公治 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70117472)
宮口 衛 東大阪市立総合病院, 耳鼻咽喉科, 部長 (70166130)
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Keywords | 活性酸素 / 酸化的DNA損傷 / 鼻副鼻腔癌 / 慢性炎症 / 発がん / ヒト |
Research Abstract |
生体内で常に発生する活性酸素は老化や癌の重要な原因と考えられている。特に活性酸素によって誘発されるDNA損傷(酸化的DNA損傷)は、遣伝子変異を誘発し発がん過程を押し進める重要な要因とされている。一方、慢性炎症と発癌との強い関連性が以前より臨床的に知られている。慢性炎症の場では活性酸素の産生が持続的に亢進しているため、酸化的DNA損傷が慢性炎症-発がんの鍵を握っている可能性が高い。しかし慢性炎症-酸化的DNA損傷-発がんの関連を明確に証明した報告はなく、これらの関連が明らかになれば慢性炎症-発がん機構の解明にとどまらず、抗酸化物資や活性酸素消去系酵素の誘導等による発がん予防も可能になると考えられる。本研究では慢性炎症-発がんの代表的モデルである鼻副鼻腔癌をターゲーットに、鼻副鼻腔の炎症性疾患と鼻副鼻腔癌組織における酸化的DNA損傷を定量的に解析することにより、慢性炎症-発がんにおける活性酸素の役割を明らかにすること目的としている。 今年度は竹内が大阪大学より鹿児島大学に移動したが、移動先の鹿児島大学で酸化的DNA損傷測定系の開発に取り込み、空気中の酸素の影響を受けない酸化的DNA損傷の高精度・高感度測定系を確立した。また限外濾過を行うことにより、非分解物が多く従来測定できなかった試料の酸化的DNA損傷の測定も可能にした。一方宮口も大阪大学より東大阪市立病院に転出したが、同耳鼻咽喉科において、患者さんからinformed concentをいただき、手術時に試料採取を行い、多くの試料・手術時所見・病歴等を蓄積した。 次年度は今年度確立した測定系と蓄積した試料を用い、酸化的DNA損傷の定量的解析を行うとともに、臨床データとの関連を検討することにより、活性酸素と慢性炎症-発がんの関連を明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kanno,Hiroyuki, et al.: "Low Frequency of HLA-A^*0201 allele in patients with Epstein-Barr virus-positive nasal lymphomas with polymorphic reticulosis morphology"International Journal of Cancer. 87. 195-199 (2000)
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[Publications] Lu,Yuquan, et al.: "Genotoxic effects of α-endosulfan and β-endosulfan on human Hep G2 cells."Environmental Health Perspectives. 108. 559-561 (2000)
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[Publications] Takeuchi,Toru, et al.: "Mechanism of oxidative DNA damage inducation in a strict anaerobe, Prevotella melaninogenica."FEMS Microbiology Letters. 192. 133-138 (2000)
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[Publications] Mikulowska-Mennis,Anna, et al.: "Lymphocyte migration to inflamed lacrimal gland is mediated by VCAM-1/α4β1 integrin, PNAd/L-selectin, and LFA-1 adhesion pathways"American Journal of Pathology. (in press).
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[Publications] 竹内亨: "活性酸素と健康-活性酸素ってなんだろう-がんとの関連から"鹿児島市医報. 40巻2号. 8-26 (2001)