2000 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭組織と男性ホルモン,その特異受容体と関連遺伝子発現
Project/Area Number |
12671686
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
漆畑 保 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70130987)
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Keywords | 喉頭 / 声帯 / 男性ホルモン / 受容体 / 代謝酵素 / 喉頭癌 / 細胞死 / ステロイドホルモン感受性癌細胞 |
Research Abstract |
男性ホルモンの性差誘導に音声の性分化も含まれ、喉頭癌発生が男性優位であることからもその声帯上皮は男性ホルモンの生理作用の下にあり、成長も含め喉頭組織を構成する筋、骨と共に影響を受ける。男性ホルモンはその標的組織で活性化の高い物質へと代謝されるが、声帯上皮における男性ホルモン活性型またその代謝が不明であった。今回この点を検討した。方法:今回、喉頭癌細胞(HEp-2)をコンフル95%状態まで培養RNA抽出保存し、プライマーを男性ホルモン代謝系酵素等に対しそれぞれ約200bpに設計しRT-PCR法に用いた。さらに産物をサイクル又はダイレクトシークエンス法にて塩基配列を調べ再確認した。スライド上に細胞培養、各種ホルモンの影響を調べた。結果及び結論:喉頭上皮細胞(癌細胞株)においては前立腺、外性器での活性型男性ホルモンである5α-Dihydrotestosteroneへの代謝能はない。さらにこの細胞はアロマターゼ酵素とエストロジェン受容体II転写能を有する。この株は男性ホルモン感受性であり10-6M以上の濃度で癌細胞死が誘導され、またEstradiol-17βによっても起こる。このことからも、材料が癌細胞というバイアスがかかるもののEstradiol-17β受容体RNA発現のみならず翻訳もおこり、実際の喉頭組織上皮の生理活性に、性ホルモンTestosteroneのみならずEstradiol-17βが働いていることを示唆するものである。(研究内容は第101回日本耳鼻咽喉科総会、弟8回日本ステロイドホルモン学会にて口頭発表、「ステロイドホルモン研究の進歩2001」へ掲載予定)一方、男性ホルモン細胞死誘導のin vitroでの結果をin vivoで検討するため、内分泌平衡破綻による男性ホルモン感受性癌株作成(乳癌pectoral-1,Inguinal-5)、肝癌、副腎皮質腫瘍)継代株への可能性実験観察中。第9回ステロイドホルモン学会で報告予定。
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Research Products
(2 results)