2000 Fiscal Year Annual Research Report
鼻アレルギーにおける血小板活性因子の検討およびその分解酵素による治療に関する研究
Project/Area Number |
12671690
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
古川 昌幸 関西医科大学, 医学部, 講師 (00229113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 浩己 関西医科大学, 医学部, 助手 (90288803)
辻 裕之 関西医科大学, 医学部, 講師 (00155368)
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Keywords | 鼻アレルギー / 血小板活性化因子(PAF) / PAFアセチルヒドロラーゼ / 誘発鼻汁 / スギ花粉症 |
Research Abstract |
血小板活性因子(PAF)は多彩な生理作用を有するエーテル型脂質の一分子種であり,強力なアレルギーや炎症反応のメディエーターとして認識されている。これまで,明らかにされてきた様々なPAFの活性は極めて低濃度のPAFで惹起されるため,生体内にPAFが蓄積された場合にPAFの持つ多彩な生理活性から病態の発症,進展を促す可能性が強く示唆される。最近PAFのアセチル基を分解して不活性なリゾPAFを生成する酵素であるPAFアセチルヒドラーゼ(PAF-AH)の存在が明らかになり,アレルギーや炎症性疾患における防御的役割が注目されている。 今回,我々は鼻アレルギーの病態におけるPAFの関与を検討すると共にPAF-AHの防御的役割についても検討を行った。未治療のアレルギー性鼻炎患者よりインフォームドコンセントを得た後に,抗原にて誘発した鼻汁を採取して実験に用いた。ウサギ洗浄血小板を用いたバイオアッセイ法によりPAF活性を検討したところ,PAFは検出されず分解産物であるリゾPAFが大量に検出された。そこで誘発鼻汁中にPAF-AHが存在しPAFを瞬時に分解している可能性を考えトリチウムでラベルしたRAFを用い誘発鼻汁中のPAF-AHについて検討した。その結果,全例にPAFの分解活性が存在し,その活性はCa^<2+>非依存性でありsn-2位のアシル基が短鎖のもののみを特異的に分解する性格を持つPAF-AHであることが明らかになった。又,蛋白阻害剤に対する挙動より血漿型PAF-AHであることが確認されている。今後は細胞工学により生成された合成PAF-AH製剤を用いて,本症への治療につき検討する予定である。
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