2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671725
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
岩崎 琢也 東京医科大学, 医学部, 助教授 (50213278)
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Keywords | 羊膜移植 / 異種移植 / リンパ球浸潤 / 免疫学的寛容 |
Research Abstract |
我々は黄斑下手術における、網膜下ヒト羊膜移植の有効性を検討するために、家兎眼で網膜下ヒト羊膜移植モデルを作成し、経時的に経過観察と免疫組織学的検討を行った。 方法:有色家兎眼10眼に対して、硝子体手術を施行した。後部硝子体剥離作成後、30G針にてBSSを網膜下に注入し、限局性の網膜剥離を作成した。凍結保存した正常ヒト羊膜を網膜下鑷子で把持し、BSS注入部から網膜下へ挿入した。経時的に細隙灯顕微鏡検査、眼圧検査、眼底検査を行い、1日、1週、2週、4週に眼球を摘出し、光顕観察とCD4、CD8に対する免疫組織染色を行った。 結果:術翌日のみ前房に軽度の炎症所見をみとめたが、フィブリン析出、眼圧上昇、白内障、硝子体混濁、硝子体出血、網膜出血、網膜剥離は全経過を通じてみられなかった。光顕観察では移植羊膜は平坦で、周囲に網膜剥離はみられず、羊膜上の網膜には層構造のみだれや空胞変性はみられなかった。また、羊膜下の脈絡膜には炎症細胞の浸潤はみられなかった。免疫組織学的染色では術後1週で、羊膜周囲にCD4,CD8陽性細胞がわずかにみられたが、2週、4週では消失した。術後4週で、羊膜下の網膜色素上皮の多層化がみられた。 結論:異種移植である家兎眼網膜下ヒト羊膜移植モデルでは拒絶反応がおきないことがわかった。これは、羊膜自身および網膜下の環境が共に免疫学的寛容にあるためと考えられた。また、網膜下のヒト羊膜は炎症所見や組織障害をともなわずに網膜色素上皮を増殖させることから、黄斑下手術における有効性が示唆された。
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