2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671727
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
馬嶋 清如 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90308924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸野内 棣 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (90181825)
|
Keywords | 水晶体上皮細胞 / 水晶体線維細胞 / アポトーシスシグナル / TNF-R1 / p75NTR / Integrin-β4 / アトピー白内障 / MBP |
Research Abstract |
ヒトの水晶体上皮細胞(Lens epithelial cell : LEC)は、ほぼ一生涯にわたって水晶体嚢(カプセル)の赤道部付近で水晶体線維細胞へ分化する能力を保持している。そして水晶体線維細胞へ分化した細胞は、伸長してやがて核は消失するが、細胞の透明性は維持されたまま、既存の水晶体を包み込むようになる。この核が消失するという所見は、アポトーシス様の一形態と考えることができるが水晶体線維細胞は死滅するわけではなく、LECに特有の細胞分化と見ることもできる今年度は昨年度から継続しているLECの分化におけるアポトーシスシグナルの発現についての検討と、LECの分化能維持についてカプセルや隣接する水晶体線維細胞における細胞外マトリックスの発現について検討した。 週令の異なるマウス水晶体を用いてTNF/Fas familyに属するp75NTRの発現を調査したところ、若令マウスのLECが分化する細胞(赤道部周辺)にのみ限局的に発現しており、その周辺にTNF-R1陽性の細胞が分布していたことから、LECの分化においてはNGF/p75NTRを介するシグナル伝達が関与していることが示唆された。またintegrin-β4はカプセルから離れて分化し始める直前のLECで細胞質内の発現部位に偏りがみられ、カプセルと接している細胞膜側にのみ発現しており、カプセルから離れたLECではintegrin-β4の発現がみられなくなったことから、LECの水晶体線維細胞への分化、およびLECとカプセルとの接着にintegrin-β4の発現量が関与していることが示唆された。 アトピー白内障で特異的に検出された好酸球顆粒蛋白のmajor basic protein(MBP)の培養ヒトLECに対する細胞傷害作用を検討したところ、MBPによってヒトLECは有意に細胞傷害を受けることが判明し、アトピー白内障の発症に関与する要因の一つと考えられた。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] K.Majima, N.Yamamoto, T.Marunouchi: "Localization of Cell Apoptosis in the Opaque Portion of Anterior Polar Cataract and Anterior Capsulotomy Margin"Ophthalmologica. 217(3). 215-218 (2003)
-
[Publications] K.Majima, N.Yamamoto: "A Case of Anterior-Type Persistent Hyperplastic Primary Vitreous"J. Pediatr Ophthalmol & Strabism. 39(6). 355-357 (2002)
-
[Publications] 山本 直樹, 丸野内 棣, 馬嶋 清如: "アトピー白内障の発症メカニズムについての基礎的検討"あたらしい眼科. 19(5). 653-658 (2002)
-
[Publications] 馬嶋 清如, 山本 直樹: "眼内レンズ挿入術後の前部硝子体中の蛋白粒子から発する散乱光の測定"眼科手術. 15(1). 83-85 (2002)
-
[Publications] 山本 直樹, 馬嶋 清如, 丸野内 棣: "アトピー白内障の発症メカニズムについての基礎的検討"日本白内障学会誌. 14(1). 26-31 (2002)
-
[Publications] 馬嶋 清如, 山本 直樹: "水晶体上皮細胞の重層とアポトーシス"臨床眼科. 55(3). 347-351 (2001)
-
[Publications] 馬嶋 清如, 山本 直樹: "NEWMOOK眼科:アレルギー性眼疾患"金原出版(東京). (2003)