2000 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性固形腫瘍の発生、増殖に関わる細胞増殖因子に関する分子生物学的研究
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12671737
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40028569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草深 竹志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70263267)
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Keywords | VEGF / FLK-1 |
Research Abstract |
小児固形腫瘍において、腫瘍増殖に関わると思われるvascular endothelial growth factor(VFGF)とこれのレセプターであるFlk-1について、これらの発現程度および局在を特に中心的小児固形腫瘍である神経芽腫において検討した。。 1.20例の神経芽腫において検討した。検討内容はヘマトキシリン-エオジン染色にて神経芽腫の診断ならびに亜型分類、島田分類を行った後、VEGF、ならびにFlk-1について、それぞれのモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学にて、これらの発現の量および局在を検討した。20例中早期症例が13例、進行症例が7例であった。またマススクリーニング発見例が14例、N-myc遺伝子増幅例が2例であった。染色の陽性コントロールには胎盤組織を、陰性コントロールには同種抗体を用いた。 発現量の評価は染色陽性細胞の割合により4段階に判定した。また発現量と進行度等の臨床データとの間に関連があるか否かを統計学的に検討した。 2.抗VEGF抗体、抗Flk-1抗体に対する染色では、いずれも腫瘍細胞の細胞質、ならびに血管内皮細胞に陽性所見を認めた。 VEGFの発現は腫瘍細胞の細胞質、血管内皮細胞両者において、早期症例に比し、進行症例で有意に高発現(+++,++)を示した。 一方、Flk-1の発現は腫瘍細胞細胞質での発現について、正気症例に比し、進行症例で有意に高発現(+++,++)であった。 しかし、血管内皮細胞での発現には、進行度との間に関連を認めなかった。 3.現在まで得られた結果から、進行神経芽腫においては腫瘍そのものが血管新生の方向に働いており、このことが腫瘍進展に関連していることを示唆するものと思われる。特に進行例においては血管新生阻害剤の臨床応用に関して効果が期待できる可能性があると思われる。
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