2001 Fiscal Year Annual Research Report
小児固形腫瘍におけるβカテニン異常ならびに遺伝子治療への応用に関する研究
Project/Area Number |
12671738
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
草深 竹志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70263267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40028569)
和佐 勝史 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10240467)
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Keywords | βカテニン / 小児 / 肝芽腫 / 腎芽腫 / 横紋筋肉腫 / 神経芽腫 |
Research Abstract |
(1)小児悪性固形腫瘍である肝芽腫、腎芽腫、横紋筋肉腫、神経芽腫においてβ-カテニン異常を、遺伝子異常ならびに蛋白発現様式の異常の観点から検討した。 (2)遺伝子異常については肝芽腫の10/13例(77%)に異常が見られ、6例がエクソン3の部分的あるいは全体に及ぶ欠失であり、4例が点突然変異であった。腎芽腫では4/16例(25%)に遺伝子異常を認め、4例ともエクソン3のコドン45における変異であり、3例が点突然変異、1例がコドン全体の欠失であった。ここで見られた遺伝子異常はいずれもβ-カテニンのGSK-3βによるリン酸化部位の変化をもたらすものであった。 (3)遺伝子異常の影響についてはGSK-3βによるリン酸化を阻害しうるという点で共通するが、異常の様式については、腎芽腫のものはすべてコドン45に集中している点で肝芽腫と際だった違いが観察された。 (4)β-カテニンの蛋白発現の異常は、免疫組織染色において腫瘍細胞の核を主たる局在部位とする陽性所見として観察された。 (5)β-カテニンの蛋白異常は、肝芽腫では遺伝子異常を認めた例のみならず検討症例全例で、また腎芽腫ではβ-カテニン遺伝子異常が認められた4例を含め6例(40%)で、さらに横紋筋肉腫においてはβ-カテニン遺伝子異常は認めなかったものの2例(25%)において観察され、これらの腫瘍においては腫瘍の発生・進展と関連する、かなり共通した事象である可能性が考えられた。 (6)神経芽腫においてはβ-カテニン異常は検出されず、病因との関連は否定的であった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Udatsu Y: "High frequency of β-calenin mutation in hepato ftas tomb"Pediatri Surg Int. 17. 508-512 (2001)
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[Publications] 宇田津 有子: "肝芽腫におけるβカロチン標的遺伝子MMP-7の転写亢進に関する検討"日本外科誌. 37. 275-282 (2001)
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[Publications] 宇田津 有子: "肝芽腫におけるAPC遺伝子及びβカロチン遺伝子の異常"小児外科. 32. 1065-1071 (2000)