2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄の発生・再生過程における低分子熱ショック蛋白Hsp27の役割に関する研究
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12671765
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 勇人 新潟大学, 歯学部, 助教授 (70251824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 芳朗 新潟大学, 歯学部, 助手 (60303129)
前田 健康 新潟大学, 歯学部, 教授 (40183941)
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Keywords | 低分子熱ショック蛋白 / Hsp25 / 27 / 歯髄 / 象牙芽細胞 / 象牙質形成 / 発生 / 再生 / ラット |
Research Abstract |
熱ショック蛋白(Hsp)は温熱などのストレスにより細胞内に一時的に誘発される蛋白質で、細胞の損傷からの防御と修復に関与する事が知られている。今回我々は発生における低分子熱ショック蛋白Hsp25/27の役割を明らかにする目的で、30日齢ラット下顎切歯を用いて、象牙質形成におけるHsp25/27の分布を検索すると共に、4週齢ラット上顎第1臼歯再植モデルでのHsp25/27の発現を検索し、以下の結果を得た。 【歯髄発生過程におけるHsp25/27の役割について】 ラット切歯形成端部では、ほとんどの歯髄細胞がHsp25/27陽性を示し、象牙質形成が進行すると、象牙芽細胞は細胞突起基部を含めた細胞質全体に強い陽性反応が見られたが、歯髄細胞の反応は減弱した。以上により、Hsp25/27発現は象牙芽細胞の分化・機能発現と密接に関与することが明らかとなった。 【歯髄再生過程におけるHsp25/27の役割について】 コントロール歯髄では、歯冠部象牙芽細胞がHsp25/27強陽性を示し、Hsp25/27陽性神経要素は殆ど見られなかった。再植後1日では歯髄の免疫活性が消失し、血行と神経分布が回復する5日後までに、Hsp25/27強陽性を示す細胞が歯髄・象牙境に配列するようになると共にHsp25/27陽性神経要素も数多く見られるようになった。7日後になるとHsp25/27強陽性細胞が配列する部位で修復象牙質形成が開始していた。14日以降、修復象牙質形成群歯髄ではコントロールと同様な免疫活性を示したが、骨様組織置換群では、歯髄・象牙境にHsp25/27陽性細胞が見られず、骨基質表面にHsp25/27陽性を示す細胞が観察された。以上より、歯髄変性後の歯髄治癒過程の決定にHsp25/27陽性を示す細胞と神経要素が重要な役割を果たすことが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohshima,H: "Transient expression of heat shock protein (Hsp) 25 in the dental pulp and enamel organ during odontogenesis in the rat incisor"Archives of Histology and Cytology. 63・4. 381-395 (2000)
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[Publications] Futami,T: "Tissue response to titanium implants in the rat maxilla : ultrastructural and histochemical observations of the bone-titanium interface"Journal of Periodontology. 71・2. 288-299 (2000)
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[Publications] Hayashi,S: "The development of terminal Schwann cells associated with periodontal Ruffini endings in the rat incisor ligament"Brain Research. 858・1. 167-171 (2000)
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[Publications] Satokata,I: "Msx2 deficiency in mice causes pleiotropic defects in bone growth and ectodermal organ formation"Nature Genetics. 24・4. 391-395 (2000)
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[Publications] Shimizu,A: "Responses of immunocompetent cells in the dental pulp to replantation during the regeneration process in rat molars"Cell Tissue Research. 302・2. 221-233 (2000)
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[Publications] 前田健康: "歯と歯周組織の発生と構造:カラーアトラス治癒の歯内療法(月星光博,福西一浩,仲田憲司編)"クインテッセンス出版. 409 (2000)