2001 Fiscal Year Annual Research Report
唾液分泌の臓器細胞生物学:統合的アプローチによる解析
Project/Area Number |
12671781
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
瀬川 彰久 北里大学, 医学部, 講師 (50154638)
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Keywords | 唾液腺 / 分泌 / カルシウムシグナリング / ギャップジャンクション / 細胞生物学 / 組織構築 |
Research Abstract |
本研究は、唾液腺を構成する個々の細胞や分子の働きが、唾液腺という臓器のなかでいかに統合されているか、そして統合する機構とその生物学的意義はなにか、について解析をおこなったものである。研究目標として1)唾液腺組織・細胞の形態形成の分子機構、2)臓器レベルでみた唾液分泌の分子機構、を掲げたが、今年度は特に2)を中心に解析をすすめ、以下の成果を得た。高速共焦点レーザー顕微鏡でラット耳下腺のカルシウム動態の変化を調べた。ムスカリン刺激やATP刺激により腺房と導管の細胞内カルシウム上昇を認めたが、腺房では同調的、導管では非同調的であった。腺房にはギャップジャンクション分子であるコネキシンの発現がみられたが、導管ではほとんど発現がなかった。またギャップジャンクションの機能を抑制するオクタノール処理で腺房の同調的反応が消失したことから、腺房は機能的合胞体を形成していると考えられた。さらにIP3レセプターの分布も、腺房で均一、導管で不均一であった。以上の結果から、唾液腺を構成する個々の細胞のカルシウムシグナリングは、組織構築特異的に統合・調節されていると結論した。臓器は多様な細胞で構成されているが、それらを統合して臓器の全体性をうみだす機構の一端がカルシウムシグナリングの統合であると推定され、本研究はそれを明らかにした最初の発見である。本研究はJ Cell Scienceに論文発表した。また、カルシウムと開口分泌および水分泌との関係についても共同研究をおこない、その成果をJ Korean Medical ScienceおよびEuropean Journal of Physiologyに論文発表した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 瀬川彰久, 山科正平: "唾液腺の臓器細胞生物学"細胞. 33.12. 484-487 (2001)
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[Publications] M Murakami, K Yoshimura, A Segawa et al.: "Fluid and amylase secretion in the isolated perfused whole parotid gland of the rat"J Korean Medical Science. 15(suppl). S38-S39 (2000)
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[Publications] A Segawa, H Takemura, S Yamashina: "Calcium signaling in tissue : diversity and domain-specific integration of individual cell response in salivary glands"J Cell Science. (in press).
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[Publications] K Yoshimura, J Fujita-Yoshigaki, M Murakami, A Segawa: "Cyclic AMP has distinct effects for Ca2^+ to evoke priming and fusion/exocytosis in parotid amylase secretion"European J Physiology. (in press).