2001 Fiscal Year Annual Research Report
HA-C標準試料とヘリカルスキャンCTによる生体無機質の精密定量システムの確立
Project/Area Number |
12671791
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
下田 信治 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30139620)
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Keywords | 骨密度 / 緻密骨 / 骨塩量用ファントーム / 骨粗鬆症 / スパイラルCT / ハイドロキシアパタイト / 骨塩基 / CT値 |
Research Abstract |
研究実績の概要は以下のとおりである。 平成13年度は、平成12年度の実施したHA-C標準試料の作製とヘリカルスキャンCTによる試験測定結果に基づき、標準試料の改良を重ね、解剖実習用献体を用いたオートプシー、EPMAへのHA-C標準試料の応用を試みた。 1.標準試料の改良 昨年度のHA-C標準試料の作製結果、標準試料の強度の点でやや脆弱性が認められたため、本年度は加圧応力を600kg/cm^2から3000〜4000kg/cm^2に変更して作製したところ、試料強度の改良が認められた。 2.解剖実習用献体を用いたオートプシー 人体の緻密骨の骨塩量測定精度を検証する目的で、解剖実習用献体にHA-C標準試料を添付しヘリカルスキャンCT撮影を行なった。その結果、下顎骨の緻密骨は1665.9±198.43(H.U.)というCT値を示し,骨塩量に換算すると1.393mg/mm^3となった。そこでCT値を求めた部位と同一部位の緻密骨を摘出し、その無機質含量を化学的に求めたところ平均誤差率は5.45±2.63%であり、HA-C標準試料による測定精度が非常に高いことが証明された。 3.EPMAへのHA-C標準試料の応用 EPMA (electron probe micro analyzer)による骨に含まれる無機質含量の定量測定の可能性について検証を行なった。一度、減圧下で圧縮応力を加えた混和比の異なる5種類のHA-C標準試料を再度、減圧下で圧縮応力を加えた。この結果、厚さ約1mmの中に5層の異なる混和比のHA-Cを含む一塊の標準試料を作ることができた。これにより象牙質やセメント質など微小領域の無機質含量を測定することが可能となった。 以上の結果から、HA-C標準試料による生体無機質の精密定量方法がほぼシステムとして確立しつつあり、次年度においては実際に生体へ応用し、測定実績を積み重ねることにより生体無機質の定量システムを確立する計画である。
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