2000 Fiscal Year Annual Research Report
P.gingivalis SODを分子進化させ特異的な構造を解明する
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12671819
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
平岡 行博 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (20097512)
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Keywords | 活性酸素 / SOD / スーパーオキシドジスムターゼ / 金属酵素 / 酸化還元酵素 / Porphyromonas gingivalis / 金属選択性 / 部位特異的変異 |
Research Abstract |
<目的>歯周病原菌の一種であるPorphyromonas gingivalis(P.g.)のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は,マンガンと鉄の何れの金属でも活性を持ち,含有する金属によってそれに応じた化学的性質を示す特徴がある。本研究は,P.g.SODの立体構造の解析結果から金属配位近傍のアミノ酸残基の役割を推測し,部位特異的変異酵素を作製して金属選択性に関わる構造を検討する一方,分子進化の理論をin vitroで再現してランダムな変異を得,(1)活性を増大させた変異酵素,(2)Fe-特異的SODあるいはMn-特異的SODに変化させた酵素を得ることを目的とした。 <方法>P.gingivalis ATCC33277から得たSOD遺伝子を含む組換えDNAを用い,Kunkelの方法でFe-特異的SODに変異させた酵素を得た。一方,SOD遺伝子をDNaseで消化して遺伝子の混合を行い,複製の忠実度を低下させたPCRで増幅・再構築してSOD欠損大腸菌に導入してライブラリーとし,パラコート添加により活性酸素を発生させた培地上でスクリーニングを行う。この操作を繰り返し、定向性進化させた変異酵素を得る。 <結果>Leu 72 Trp,Leu 76 Phe,およびGly 155 Thrの3残基変異酵素は,Feに対する活性発現がMnの場合の13.4倍に増加し,3残基がP.g.SODの活性金属選択性に寄与する事が示唆された。これはcambialistic SODの金属特異性をFe-特異的SODに変換させることに成功した初の成果であり,既報のMn特異性に寄与するGly 70,Gln 142の2残基と併せ,Fe-特異的およびMn-特異的SODの優性配列が特定できた。今後,Directed Evolutionによる高速進化の条件を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 平岡行博,山倉文幸,杉尾成俊: "金属寛容的なP.gingivalis SODの活性を3アミノ酸変異でFe特異的に変換させた"生化学. 72・8. 1064 (2000)
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[Publications] 平岡行博,原田実: "P.gingivalis SODの活性金属認識に寄与するアミノ酸残基について"歯基礎誌. 42・5. 498 (2000)