2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671835
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
武川 寛樹 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80173558)
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Keywords | OK-432 / 腫瘍ワクチン / 重合 / アポトーシス / KLN-205 / B16 / Sq-1979 |
Research Abstract |
1.OK-432重合腫瘍ワクチンによる抗腫瘍効果の解析 OK-432重合腫瘍ワクチンは,B16メラノーマやSq1979扁平上皮癌などのマウス悪性腫瘍に対して抗腫瘍効果を有することがわかってきたが,これらのモデルは側腹部での腫瘍摂取のため,組織学的な解析には解剖学的条件より不適切と考えられた.組織学的評価の理想的なモデルとして,移植舌癌のモデルを開発し,そこでOK-432重合腫瘍ワクチンの抗腫瘍効果の解析を行った. 2.移植舌癌モデルの開発と特異免疫の誘導 マウス舌への移植腫瘍として,Sq1979およびKLN-205の2種類の扁平上皮癌を用いて検討したところ,後者は移植舌癌モデルに適するが,前者は摂取可能な最大限の腫瘍細胞数でも腫瘍の自然退縮がありモデルとして適さないことがわかった(現在,論文作成中).したがって以後の研究は,KLN-205細胞を用いて行った. KLN-205腫瘍細胞をマウス舌へチャレンジする前に,同細胞から作製したOK-432重合腫瘍ワクチン(KLN205ワクチン)を1週毎に3回摂取した.同様にB16細胞から作製したOK-432重合ワクチン(B16ワクチン)やOK-432単独も3回摂取し,生食のコントロール群と共に4群を比較した.腫瘍チャレンジ後の腫瘍発生率・腫瘍増殖率・死亡率を測定したところ,KLN205ワクチン群は生食群に比べてこれら全てを有意に抑制したが,B16ワクチン群やOK-432単独群では抑制が軽度みられるものの有意の差は得られなかった.以上からOK-432重合腫瘍ワクチンは腫瘍特異的に抗腫瘍効果を誘導すると考えられた. 次いで,KLN205ワクチンで3回免疫後,KLN-205腫瘍チャレンジを行い,24時間・72時間・10日後の組織病理標本を作製したところ,生食群に比べて24時間で腫瘍周囲に著明なリンパ球の浸潤がみられ,ワクチン摂取により腫瘍特異的免疫が誘導されていることが推定された.しかしこれらのリンパ球を抗CD3抗体・抗CD4抗体や抗CD8抗体で免疫染色しても染色されなかった.これは手技的な問題と考えており,再検の予定である.また経時的に標本を作製していったところ,予想に反して必ずしも長時間著明なリンパ球浸潤が見られるわけではないことがわかった.10日目には,全く腫瘍細胞が見られなかった標本も認めたが,腫瘍が残存したケースでも,核の空胞変性や核濃縮が見られ,抗腫瘍効果の機序としてアポトーシスが示唆された(第19回日本口腔腫瘍学会で発表).
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