2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671840
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Research Institution | ASAHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉村 忠敬 朝日大学, 歯学部, 教授 (30131387)
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Keywords | 咀嚼 / 咀嚼筋 / 筋電図 / 顎運動 / 咬筋深部前方部 / 咬筋深部後方部 |
Research Abstract |
平成14年度の研究目標は、平成12年度および平成13年度の成果をふまえ、咬筋深部の前方部および後方部の他筋群との相関から、これらの筋の機能を明らかにすることである。咬筋深部の前方部は活動のパターンとして、閉口相で活動することは当然であるが、咀嚼側の同筋は閉口筋の一部であるにもかかわらず、開口相の前半に一過性ではあるがきわめて大きく活動する。この筋は同側の筋群とはそれほど大きいとは言えないが相関はするが、後方部とはほとんど相関しない。そして、反対側の内側翼突筋や咬筋浅部などとは相関するが、同名筋や深部の後方部とはほとんど相関しない。すなわち、前方部と後方部とはほとんど相関しない。一方、咬筋深部の後方部は、活動のパターンとしては閉口相だけに活動し、特に変わった活動パターンは認められない。しかし、相関に関しては、咀嚼側の同筋は同側の筋群とはそれほど大きいとは言えないが相関はするが、前方部と同様に後方部と前方部とはほとんど相関しない。それに対して、反対側の深部前方部とはかなり高く相関し、もちろん、他の閉口筋群である内側翼突筋、咬筋浅部および同名筋ともかなり高い割合で相関する。以上のことから、活動のパターンおよび相関の実態からみて、深部の咬筋前方部と後方部とは同名筋の一部ではあるが、かなりその機能には相違があると思われる。そこで、以上の活動パターンおよび相関から、咬筋深部の前方部および後方部の役割を推測してみる。普通に咀嚼をしているとき、口腔内に残存している食品の量および粘性などの性質によって最大に開口する位置が異なるが、咀嚼側の深部咬筋前方部は下顎骨をその位置へ誘導する役割を果たしているのではないかと想像できる。すなわち、咀嚼時の開口位へのサイドシフトの位置をコントロールしているのではないかと思われる。一方、咀嚼周期の後半、すなわち、下顎骨は食品把持相および食品粉砕層を経て中心咬合位へ戻るが、そのとき、咬筋深部後方部は反対側の閉口筋群と協力して、側方位から中心咬合位へ移動させる「かじとり」の役割を果たしているのではないかと考えられる。
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Research Products
(1 results)