2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671843
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
櫻井 一成 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30129118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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Keywords | 口腔粘膜 / 上皮異形成症 / 扁平上皮癌 / 発癌 / 浸潤・転移 / COX-2 / TopoIIα / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
口腔粘膜前癌病変(上皮異形成症),上皮内癌,扁平上皮癌および上皮過形成症の計154例(対照:正常舌粘膜)を対象に行なった前年度の研究で,口腔粘膜の発癌および癌の成長・発育にCOX-2が密接に関与することが判明した. 一方,上皮過形成症にCOX-2高発現がみられた点に若干の疑義を生じた.この点を含め,まずCOX-2発現と細胞増殖との関連性について検索を行なった.検索対象は前回と同様(n=154,対照:正常舌粘膜)とし,細胞増殖マーカーとしてTopolsomerase(Topo)IIα(MBL社製)を使用し,TopoIIαLIの算定(各例,高倍視野において1,000個)を行ない,陽性細胞数を5段階に分類(0〜+4)し,陽性細胞の局在および発現様式を含めて,COX-2の検索結果と比較検討した.本検索結果より,口腔癌の形成および成長発育過程において,COX-2の発現増強と相まってTopoIIαLIが上昇することが判明した.また本過程におけるCOX-2発現増強とTopoIIαLI(発現率)の上昇は相関(r=0.74)し,COX-2発現が口腔癌形成発育過程におけるマーカーと成り得る可能性が示唆された.なおCOX-2高発現が認められた上皮過形成症症例群においては,TopoIIαLIは低値を示すに留まった. 次に口腔癌の転移におけるCOX-2の関与について免疫組織化学的検索を行なった.検索対象はリンパ節転移のみられた口腔粘膜扁平上皮癌(各分化型)40例の生検および転移リンパ節材料とした[1次抗体:human COX-2(MBL社製)].これらについて原発/転移腫瘍両者における発現細胞の局在,発現率(G0〜4に分類)および発現の意義について比較検討した.この結果,全例において両者にCOX-2発現が認められた.また分化度の低下に連動し陽性率の上昇傾向が示され,COX-2が腫瘍細胞の分化に関与するものと考えられた.さらに検索例中35例(88%)において,原発腫瘍に比して転移腫瘍において,より高発現が示された.以上より,口腔扁平上皮癌の転移におけるCOX-2の関与が示唆された.
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