2000 Fiscal Year Annual Research Report
レジン強化型グラスアイオノマーセメントの汎用プライマーに関する研究
Project/Area Number |
12671860
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安藤 進 日本大学, 歯学部, 講師 (40120365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 一男 (株)ジーシー, 所長
小野瀬 英雄 日本大学, 歯学部, 教授 (70059426)
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Keywords | レジン強化型グラスアイオノマー / 汎用プライマー / 従来型グラスアイオノマー / 光重合型レジン / 象牙質接着強さ / SEM観察 |
Research Abstract |
レジン強化型グラスアイオノマーセメント(以後,RMGIC)の象牙質に対する接着強さを向上させることを目的として汎用プライマー(EP)を試作し,その有効性を象牙質接着性試験,破壊形式および接着界面の走査電子顕微鏡(以後,SEM)観察を行い検討した。 供試したRMGICは,2種の光硬化型グラスアイオノマーセメント,従来型グラスアイオノマーセメイト,合着用グラスアイオノマーセメントおよびフッ素徐放性を有する光重合型レジンである。象牙質面処理は,試作の汎用プライマーおよび市販のReactmer Bond,One-up Bond F,AQ Bondの3種のワンステップシステムである。ウシの下顎前歯を用い接着試験およびSEM観察を行った。接着強さ測定は,インストロン万能試験機(Type 4204,Insoton)を用いてクロスヘッドスピード1.0mm/mimの条件で測定した。SEM観察は,象牙質処理面およびSEM試片を歯牙の長軸方向に縦切断後接合界面の観察を金蒸着後,SEM(JSM-5400,JEOL)で行った。 RMGICとEPとの組み合わせによる象牙質接着強さは、光レジンと比較し同程度の接着強さを示し優れていることが判明した。象牙質処理面のSEM観察では,象牙質研削面に観察されたスミヤー層は除去され,象牙細管内のスミヤープラグは除去されているのが観察された。試作汎用プライマーと象牙質との接合界面には,1μm程度のハイブリッド様層が形成されているのが観察された。 接着試験後の破壊形式は,化学硬化型RMGICとの組み合わせではその大部分が界面破壊であったが,光硬化型RMGICの一部のセメント内での凝集破壊が認められた。しかし,レジン成分を含まない従来型のF9との接着試験後の破断状態は,すべてが界面破壊であった。本実験の結果,試作汎用プライマーとセメントとの接合状態は緊密であり,象牙質接着性に大きく影響していることが示唆された。 本実験の成果は,第36回日本歯科理工学会(平成12年,岡山)で報告された。
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