2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄炎における細胞外マトリックス代謝の細胞機能学的特性の解明
Project/Area Number |
12671862
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松島 潔 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (00157306)
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Keywords | 歯髄炎 / 歯髄培養細胞 / 歯肉培養細胞 / IL-6 / TNF-α / Plasminogen Activator / Tissue inhibitor metaloprotease |
Research Abstract |
歯髄炎の不可逆的な進行をたどる経過の特性を細胞機能学的な観点から、解明することを目的として、炎症時に発現する炎症性サイトカインによる細胞外マトリックス代謝に関わるplasminogen activator (PA)/plasmin系への影響を中心として、同一個体から得た歯髄培養細胞と歯肉培養細胞を用いて比較検討を行った。前年度の結果より、IL-6,TNF-αの作用において、歯髄培養細胞が歯肉培養細胞に比較して、有意にPA活性が上昇し、Matrix Metalloproteinases (MMP)-9の活性を上昇させていることが認められた。今回、さらにその詳細について検討した。PAおよびMMPsの抑制系について検討した。plasminogen activatorinhibitor (PAI)では両細胞とも無刺激のコントロールに比較して、PAIの活性は減少するものの細胞間では有意な差は認められず、Westernblotting法でのタンパク質レベルやRT-PCR法での遺伝子発現レベルでの差も認められなかった。また、MMPのinhibitorであるTissue Metalloproteinasesでも、TIMP-1,2ともに遺伝子発現レベルの観察で両細胞間に差は認められなかった。これらのことから、両細胞のPA活性の差はPAの特にtPAの産生量の差によるものと考えられる。 そこで、IL-6のレセプタ(IL-6r)と可溶性のレセプタ(IL-6rs)の発現について検討した。両レセプタについても、両細胞間に発現の差はなく、また、歯肉培養細胞にIL-6srを添加しIL-6を作用させても歯肉培養細胞ではPA活性の上昇が認められなかった。これらのことから、歯髄培養細胞と歯肉培養細胞ではシグナル伝達系に相違があるものと考えられ、今後その検討を行う予定である。
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