2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671863
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
辻本 恭久 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (80163806)
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Keywords | 漂白 / 活性酸素 / H_2O_2 / ヒドロキシラジカル / ESR |
Research Abstract |
歯の漂白に使用されているのは,スーパーオキソール(30〜35%H_2O_2)や過ホウ酸ナトリウム,過酸化尿素などであるが,いずれもH_2O_2を発生する.H_2O_2は活性酸素であり,金属イオンと反応するとヒドロキシラジカル(・OH)を発生することが考えられる.この・OHは活性酸素の中でも強力な活性を持ち,様々なものを酸化してしまう強力なフリーラジカルでもある.歯の漂白のメカニズムについての詳細な報告はないため,フリーラジカル的見地から,歯の漂白のメカニズムを解明するため様々な実験を行った.各種濃度(1〜30%)のH_2O_2をelectron spin resonance(ESR)spin-trapping法にて測定したところ,濃度依存的に・OHの発生が確認された.また,各種周波数の光照射器を用いて照射したところ,・OHの発生量は増加した.しかし,金属キレーターのEDTAや・OHの消去剤を添加すると・OHの発生は濃度依存的に抑制された.つぎに,各種濃度(10,20,30%)のH_2O_2を用いて抜去歯(歯根部象牙質)の漂白を行ったところ,30%H_2O_2を用いた歯は,時間の経過とともに白濁しながら漂白され,10%H_2O_2を用いた歯は,透明感を残しながら漂白された.これらの試料をSEM観察したところ,濃度の高いH_2O_2を作用した象牙質においては,経時的に象牙細管口部の管周,管間象牙質がダメージを受け細管口の拡大が観察された.しかし,スーパーオキソールと同じpHに調整したHClを用いた実験においては,このようなことは観察されなかった.H_2O_2のハイドロキシアパタイトに対する影響を調べるために,X線回折を行ったが,何の影響も認められなかった.以上,これまでの実験において,歯の漂白に関与しているのはH_2O_2から発生する・OHである可能性が考えられ,さらに詳細についてコラーゲン等を用いて検討中である.
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