2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12671863
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
辻本 恭久 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (80163806)
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Keywords | 漂白 / 活性酸素 / H_2O_2 / ヒドロキシラジカル / レーザー |
Research Abstract |
歯の漂白に使用されている過酸化水素(H_2O_2)はそれ自身が活性酸素であるが,様々な刺激や反応によってより強力なヒドロキシラジカル(・OH)を発生する.今回,様々な光ならびにレーザーを照射することによってH_2O_2から・OHが発生することを詳細に確認することができた.紫外線を各種濃度のH_2O_2に40秒間照射した場合,H_2O_2濃度が1mol/lまでは,H_2O_2濃度に依存して・OHが増加し,1mol/l以上ではプラトーとなった.また,1mol/lのH_2O_2に対する照射時間を変化させた場合,40秒までは照射時間に依存して・OH発生量が増加したが,それ以降はプラトーであった.また,発生した・OHを経時的に観察したところ240秒までは徐々に減少したがそれ以降はプラトーであった.次に,プラズマランプ,ハロゲンランプ,He-Ne laser,Yellow He-Ne laserをH_2O_2に照射した場合,・OHの発生量はプラズマランプ>ハロゲンランプ>He-Ne laser>Yellow He-Ne laserの順であった.また,アルゴンレーザー,炭酸ガスレーザーとプラズマランプを比較した場合においてもプラズマランプ照射における・OHの発生量は多かった.H_2O_2を根管象牙質に作用した場合の詳細について検索するために,10,20,30%のH_2O_2を作用させたところ,濃度があがるにつれ,また,作用時間が長くなるにつれ,管間象牙質,管周象牙質の崩壊がSEMによって観察された.さらに,H_2O_2と光照射がヒト歯肉培養細胞に及ぼす影響について検討したところ,プラズマランプ,あるいはハロゲンランプで照射した場合のほうが,H_2O_2単味で作用させた場合よりも,ヒト歯肉培養細胞の生存数に与える影響が大きかった. 以上のことがこれまでに実験で判明したが,さらに詳細について検討中であり,結果が出次第報告する予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田中みどり, 太田智子, 塩沢 督, 辻本恭久, 山崎宗与: "過酸化水素に紫外線照射することによって発生するヒドロキシラジカル -実験装置の開発と,その有用性-"日本歯科保存学雑誌. 44(3). 537-541 (2001)
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[Publications] 小塚昌宏, 川本幸司, 三浦 浩, 辻本恭久, 山崎宗与: "漂白に用いるH_2O_2の根管象牙質表面に対する影響 -作用濃度と作用時間の電子顕微鏡的検討-"日本臨床歯内療法学雑誌. 22(1). 16-19 (2001)
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[Publications] 監物佐栄子, 辻本恭久, 川本幸司, 五味博之, 坂本真樹, 松島 潔, 山崎宗与: "過酸化水素と光照射がヒト歯肉培養細胞に及ぼす影響"日本歯科保存学雑誌. 44(6). 895-899 (2001)
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[Publications] 川本幸司, 辻本恭久, 飯田浩雅, 木村大, 山崎宗与, 池見宅司: "過酸化水素水に光あるいはレーザー照射した際に発生するヒドロキシラジカルの発生量"歯科の色彩. (掲載予定). (2002)
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[Publications] M. Kashima-Tanaka, Y. Tsujimoto, K. Kawamoto, N. Sendo, K. Ito, M. Yamazaki: "Generation of Free Radicals and/or Active Oxygen by lights or Lasers Irrodiation of Hydrogen Peroxide or Sodium Hypochlorite"Journal of Endodontics. (掲載予定). (2002)